警察による交通違反の取締りが理不尽なのは、今に始まった事ではありません。
実はこれをやめさせる簡単な方法があります。
皆さんの協力が必要ですので一朝一夕にはいかないかもしれませんが、逆に言えば皆が協力して「たった1つのこと」をすれば、数年を待たずに交通違反の取締りは大きく変わるでしょう。
先に結論を書きます。そのたった1つの方法とは、
交通違反で検挙されたら、「裁判で争う!」と主張する
ただ、それだけです。
今のままだと警察は事故を減らさない
そもそも、青切符を切られる反則行為(軽微な交通違反)に関して、反則金を支払えば刑事処分にしないという公的賄賂システムが導入された理由は、
全てを起訴していたら検察も裁判所もパンクして回らなくなるから
です。
違反を認めてカネを納めれば検察庁に呼ばれたりせずに済むという事で、多くのドライバー達が何も考えずに支払ってしまっているのが現状です。
この反則金に目を付けた警察は、これを財源として交付金を都道府県にキックバックさせ、交付金によって潤う企業に天下りを受け入れさせています。
タチが悪いのは、この交付金の計算方法を極めて簡単に言えば
予算額全体×(その都道府県の交通事故件数)/(全国の交通事故件数)
となっていて、要するに交通事故が多い都道府県ほど沢山の交付金がもらえるというシステムになっています。
極端な話が、ある都道府県の交通事故がゼロになってしまったら、翌年もらえる交付金もゼロになってしまうのです。
天下りを受け入れさせている警察が交付金が激減したりなくなったりすることを望むワケがありません。
だから、
交付金は出来るだけ沢山欲しい
→交付金と同額の反則金を集めなければならない
→でも、本当に事故が減ってしまうと交付金も減らされてしまう
→よし。事故とは無関係の違反を中心に検挙しよう
→その為には、交通規制は出来るだけ厳しくして、いつでも取り締まれるようにしておこう
冗談ではなく、本当にこういうロジックで交通規制を決めたり、取締りを行ったりしているのです。
世論の批判をかわすために、極稀に悪質かつ危険な違反も取締りますが、検挙のほとんどが反則行為である事からも、警察が事故を減らしたくないと考えているのは明らかです。
交通事故統計2013を読み解く②[警察は反則金が欲しいだけ]
[交通違反]反則金の支払いをやめれば取締りは変わる[不服従運動]
このような「事故を減らさない為の取締り」は間違っています。
免停や免許取消になると仕事やプライベートで支障がある方が多いと思いますが、免停や免許取消にすべきなのは「違反が多い者」ではなく「事故を起こした、または起こす可能性が非常に高い者」に限定すべきなのです。
では、冒頭で提唱した「皆が否認して裁判を受ける権利を主張する」と、どうして交通違反の取締りが変えられるのでしょうか?
誰も反則金を支払わなければ交付金システムが崩れる
これに関しては前回の記事で書きましたので、要点のみをまとめておきます。
- もう二度と反則金を支払うのはやめましょう
- 無視すると逮捕されるリスクがあるので出頭して否認しましょう
- 違反を気に病む必要はありません。遵守できない法律がおかしいのです
- 皆が反則金の支払いをやめれば、反則金制度が崩壊してマシになるかもしれません
詳しくは以下の記事でどうぞ
皆が否認すれば裁判所はパンクする
否認すると本当に裁判を受けさせられたりして大変じゃないの?
既に青切符を否認した場合の不起訴率は99.9%以上。赤切符ですら全国平均で40%が不起訴です。否認が増えた場合、起訴率は下がる事はあっても上がる事は絶対にありません。
不起訴率に関しての詳しい記事は以下のものになります。不安な方は読んでおきましょう。
[反則行為]青切符の不起訴率が99.9%以上であるとする根拠[検察統計]
ところで、全国で年間何件くらいの交通違反の取締りが行われているか御存知でしょうか?
年による差はありますが、概ね700万件ほどの取締りが行われています。
5-22 交通違反取締件数の推移(昭和54~平成27年)(Excelファイルのダウンロードリンクです)
では、もしこの700万人が全員否認して「ちゃんと裁判を受けさせろ!」と主張した場合に、裁判所は処理出来るでしょうか?
答えはNOです。判決を出すだけの略式命令を除けば、ちゃんと公判を開けるキャパシティは多めに見積もっても年間10万件が限界です。
そもそも、日本国内の裁判所は地裁と簡裁を合計しても500個もありません。
裁判所は民事訴訟なども行いますが、民事・行政・刑事・家事・少年事件の受理件数は、年間400万件にも上るのです。
これだけ見ると年間最大600万件程度の処理能力がありそうに見えてしまいますが、違います。
民事訴訟のほとんどは調停手続きで処理していしまいますし、刑事事件のほとんどは簡裁で略式命令(書類だけ整えて相場通りの判決を出す)で済ましています。
刑事事件において、公判請求をしてちゃんと双方の弁論を聞くような公判を開いているのは、多めに見積もっても年間10万件程度しかないのです。
まずは道交法を除いた刑事事件の公判請求件数(実際に裁判になった件数)ですが、
検察庁別 被疑事件の受理,既済及び未済の人員(ExcelファイルのDLリンク)
略式命令は罪を認めて罰金を納めたいと主張する人しか受けられませんから、「裁判で争いたい!」と主張した人は、公判請求されるか不起訴になるかの二択しかありません。
上記のデータでわかるように、道交法以外で実際に公判請求されたのは年間約85,000件です。
次に、道交法違反はどうでしょうか?
検察庁別 道路交通法等違反被疑事件の受理,既済及び未済の人員
前述の通り、略式命令は「違反は認めます!罰金も払います!公判(裁判)だけは勘弁して下さい!」という人しか受けられません。
上記のデータを見ればわかる通り、道交法違反容疑で実際に起訴された人は年間8,000人もいないです。
ここからわかる事は、公判を主に行っている全国に50個しかない地方検察庁の公判処理能力は、多めに見積もっても10万件くらいが限度であろうということです。
今ですら、合計約85,000件の事件を、50個の検察庁で処理しているのですから、検察庁1庁あたりの年間処理件数は、平均でも1700件もあります。
1年は365日しかなく、裁判所は平日しか開いていません。
実際に開庁しているのは年間約250日程度ですから、毎日7件くらいの事件を処理しなければなりません。
しかも公判が1日で終わるとは限らず、被告人が否認すれば裁判は長期化します。
今ですら裁判所や検察庁はパンク寸前なのに、700万人の交通違反被疑者のうちのたったの5%である35万人が「裁判を受けさせろ!」と主張したらどうなるでしょうか?
まずは検察がパンクして不起訴を連発せざるを得なくなり、起訴しようとしても今度は裁判所がパンクして処理しきれません。
それでも起訴されるのは、本当に悪質で危険な違反のみに限定されていくでしょう。そういう事故と直結しかねない重大な違反のみを警察は取り締まれば良いのです。
カネにならなければ続ける理由もない
反則金を納める者がいなくなれば、交通反則通告制度(という名の反則金の還流システム)は崩壊します。
ガンジーがイギリス製品の不買運動を主導してインド独立に貢献したように、カネにならなければ警察が軽微な反則行為(青切符)を取り締まる必要はなくなります。
何度も言いますが、交通違反の取締りの95%は事故とは無関係の軽微な違反がターゲットです。事故が減ると交付金が減ってしまうシステムがある以上、警察が事故防止を目指す理由がないのです。
話を戻しますが、交付金の財源は反則金収入です。財源が確保出来なければ、反則金制度は破綻しますから、警察は別の財源を探し始めるでしょう。
それがどんなものになるかは現時点ではわかりませんが、そもそもガードレールや信号機などは一般財源から必要に応じて整備すべきインフラの一部であり、自治体の判断に任せれば良いのです。
受益者負担と称して自動車を持っているだけで自動車税だの重量税だのを取られていますが、自動車を持っていない人がスーパーで購入している商品は、道路を走ってきたトラックが運んでいるのですから、道路というインフラの恩恵は国民全員が受けています。だから全員で負担すべきなのです。
信号機やガードレールの設置や維持管理が自治体の一般財源ベースになれば、財源確保の為の取締りをする必要はなくなります。
警察の天下り先が減りますから警察庁は抵抗するでしょうが、現場で我々を苦しめている末端警察官達は、そもそも天下りの恩恵を受けれるルートにはいませんから、彼らにしても無意味な取締りから解放されるのは喜ばしい事のハズです。
もちろん、赤切符の非反則行為であっても、「道路の安全かつ円滑な交通の維持」という道交法の趣旨に反した運転はしていないと思うのであれば、否認して裁判を受ける権利を主張してい構いません。
法律や交通規制の方がおかしい事だっていくらでもあるのですから。
私は飲酒運転には断固反対ですし、自分も飲んだら絶対に運転しませんが、「酒気帯びの基準値が欧米に比べて日本はやたら厳しい」という観点から見ると、本来ならば検挙する必要のない人まで捕まえている可能性が高いです。
私も再び二輪に乗るようになったので、四輪車の漫然運転は本当に恐怖なのですが、それでも運転技術がしっかりした人が呼気中アルコール濃度0.2mg/L程度で運転しているのと、信号が青になっても発進せず妙なタイミングでブレーキを踏みまくる高齢者の運転だったら、まだ前者の方が信頼出来ます。
「重大な事故を起こす可能性が高い」事を理由に免停や免許取消にして運転者を道路からパージすると言うのであれば、最初にパージすべきなのは白バイ隊員という事にもなります。
読売新聞 12月15日(火)14時46分配信
白バイ隊員による職務中の死亡・重傷事故が昨年までの5年間に全国で42件発生し、軽傷事故を含めた白バイの事故全体の50%に上っていたことが警察庁への取材でわかった。
重大事故の多発を受け、同庁は、安全確保強化を全国の警察本部に指示した。
同庁によると、2010~14年の5年間に起きた白バイ隊員の死亡事故は4件、重傷事故は38件。合わせた数字は、09年までの5年間と比べ約1・8倍に増加していた。昨年のバイク乗車中の死傷者全体(3万6411人)をみると、死亡・重傷者の割合は約16%にとどまり、白バイの重大事故の多さが目立っている。
12年7月に、福島県警の巡査部長(当時49歳)が乗用車と衝突して死亡。同年8月には、栃木県警の巡査長(同30歳)が県道を走行中に脇の敷地から出てきたトラックと衝突して亡くなった。いずれも取り締まり中で赤色灯をつけていた。
白バイが事故を起こすと重傷・死亡事故に繋がるリスクが50%もあるそうです。轢き逃げ犯を追尾する時以外は、白バイが追尾を始めた時点でドライバーは事故を起こしていないのですから、白バイによる取締りなんてさっさとやめるべきなのです。
まずはあなたから始めなくてはならない
皆で反則金の支払いを拒否し、「ちゃんと裁判で争わせろ」と主張すれば、合法的に制度の変更を促す事が可能です。
取締り件数と交通事故発生件数には相関関係が無いのですから、取締りをするなら本当に危険性の高い物に限定すべきです。
軽微な違反の取締りをやめても事故は増えません。事故を起こしたいと考えて運転している人間などいないのですから。
もちろん、反則金の支払いを拒否する人、否認して裁判で争う意思を見せる人が増えなければ、今の理不尽な制度を変える事は出来ません。従順で裁判沙汰を嫌う日本人が一斉に立ち上がる可能性は低いかもしれません。
しかし、それでもまずはあなたから始めなくてはなりません。私はこのサイトの前身である旧ブログを始めた14年前から始めました。
否認する勇気さえ持っていただければ、警察・検察に臆せずに争う手段はこのサイトと私が提供します。
「事故が増えた方が警察OBが潤う」なんてふざけたシステムを止める為に、交通違反で検挙された時には、「裁判で争う!」と胸を張って言いましょう。
誰かが始めなければならない。
他の人が協力的ではないとしても、それはあなたには関係がない。
私の助言はこうだ。
あなたが始めるべきだ。
他の人が協力的であるかどうかなど考えることなく。
by アルフレッド・アドラー
あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。
そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである
by マハトマ・ガンディー