交通事故統計2013を読み解くシリーズです。前記事は
交通事故統計2013を読み解く①[取締りは事故を防止しない]
赤切符の方が危険じゃないのか?
警察の取締りが事故防止には全く役に立っていない事、そもそも事故防止を目指してすらいない事は、前記事と交付金の記事を読んでいただければわかると思いますが、それでも建前上は「事故防止の為にやっている!」と警察は答えるワケです。
交通違反には反則行為・非反則行為の2種類があるのは皆さん御存知の通りです。
- 反則行為:軽微な反則点数6点未満の違反・通称「青切符」を切られる・反則金を払うとそのカネは警察に還流される
- 非反則行為:重大な反則点数6点以上の違反・通称「赤切符」を切られる・罰金刑が通常で罰金は警察に還流されない
これを見ただけでも「警察がどちらを取り締まりたがるか?」は自明ですが、交通事故統計2013の資料をグラフ化したものを見てみましょう。
左軸が「取締り件数」 右軸が「反則適用率」つまり「取締り全体に占める青切符の割合」です。
見ての通り取締件数自体は横ばい、またはやや減少傾向ですが、反則適用率が右肩上がりで、平成23年(2013年)に至っては取締り全体の95.2%が青切符です。警察万歳番組である「交通警察24時」とかで御用ナレーターが言っている「悪質な飲酒運転は絶対に許さない!」なんてのがまるで嘘という事がわかりますね。
飲酒・大幅な速度超過・暴走族あたりは気が向いた時にしか取り締まらないのです。だって罰金になってしまうので警察にとっては送検の手間が掛かるだけでカネになりませんからね。
事故が多くても反則金狙い
警察擁護派はもはや宗教と同じレベルの信奉者ですから、「警察の努力によって事故が減少傾向にあり、重大な違反者も減ってきているから自然に反則行為の割合が増えているんだ!」とか言うかもしれませんね。言った瞬間に「まさかそこまで頭が悪い」事を自白するようなものですが(笑)
どう見ても「事故が減る前から反則適用率を上げている」事がわかりますね。事故を減らす気は無かったようです。
まあ、警察が取り締まるような違反の検挙を強化しても事故は減りませんから、当たり前と言えば当たり前ですが、こういう方針変換はどうして起こるのでしょうか?
警察が反則適用率を上げ始めたタイミングは過去に2回あります。
1回目:昭和63年(1988年)
この年は年度初めに決められる「交通安全対策特別交付金」の予算額が、前年の約568億円から951億円に激増された年です。当然「交通反則者納金」の予算額もそれに準じて上げられます。
だから警察は必死で反則行為を検挙しまくり、無事に1036億円の反則金収入を叩き出します。
面倒なのでちゃんと調べてないのですが、1988年って何があった年なのでしょう?
多分これですかね。
日本における交通事故での死者数は1970年(昭和45年)にピークに達するがこの後減少。しかし、1980年(昭和55年)よりふたたび増加に転じ1988年(昭和63年)に1万人を超え、第二次交通戦争ともいわれる状況となった。
前年の1987年には「1万人に迫る勢い」だったので、死者1万人は印象が悪いという事で慌てて(あるいは警察はこれを奇貨として)交付金の大幅増額に成功したのでしょう。で、現場の警官は必死で「軽微な反則行為ばかり」を取締り、「交通事故死者数は1万人を突破」します。警察がどれだけク○かわかりますよね?
2回目:平成15年(2003年)
この時の適用率の上昇は原因がよくわかりません。しかし、その後も順調に適用率を上げている所を見ると、警察は危険な違反の検挙は激減させて、反則金の予算達成のみを目指すようになったのかもしれません。
1回目の時のような交付金額の大幅上昇は見られませんし、次の記事で言及する予定の内容を鑑みても理由がよくわかりません。
警察庁の幹部の異動などが原因かもしれませんが、そこまで調べる気力もわからないので原因は謎のままです。どなたかアイディアがあれば教えて下さい。いずれにせよ、警察が飲酒・大幅な速度超過・暴走などはあまり目の敵にしていない事がよくわかりますね。
まとめ
- 警察が軽微な反則行為ばかりを取り締まるのは、反則金が欲しいだけ
- 事故数が高止まりしていても警察は反則行為の検挙率を上げに来た
- 1988年には「積極的に軽微な違反を取締り」「交通事故死者数は1万人を突破した」というお粗末さ
このシリーズはまだ続きます。もうしばらくお付き合いを(笑)