※2018.10.15に再編集しました。
道交法くらい誰でも知ってるし、交通ルールもわかってます。
しかし、実際には違反をしてしまう人が多く、たまに検挙されて悔しい思いをすることも多いでしょう。
「しまったなぁ」くらいに捉えてしまいますが、道交法違反も立派な犯罪。特別刑法犯なのです。他の刑法犯罪とは無縁な善良な市民が、何故特別刑法を犯して検挙されるのでしょうか?そして、違反したのは自分なのに、どうして取締に納得がいかないことが多いのでしょうか?
理不尽な取締りが多い理由
道交法が現実の交通とかけ離れている
片側2,3車線のガードレールのある見通しの良い国道が60km/h制限。場所によっては50km/h制限だったりします。都内だとガラガラの深夜の環七の40km/h制限区間とか。本当にそんなにゆっくり走らないと危険でしょうか?
法定速度60km/hとか高速で80km/h制限などは、戦後間もない時代に道交法が定められた時からほとんど変わっていません。
土の道で自動車の性能も低く、そもそもそんなにスピードも出ないし、ブレーキがしょぼくて止まれない。そういう自動車を前提として定められた制限速度を未だに使い続けているのが日本という国なのです。
現に、日本を除く先進国で、一般道の上限速度が60km/h程度だったり、原付の制限速度が30km/hの国はありません。アメリカなどでは大抵が50mile/h制限。つまり80km/h制限程度で、あまりゆっくり走るなという最低速度指定がある区間が多いのが普通です。
その代わり、少しでもオーバーしたら結構な確率で捕まります。
日本の道路交通の現状を見てみると、60km/h制限の国道では大抵80km/h程度で流れています。65km/h程度で捕まる可能性はほとんどなく、ネズミ捕りは80km/h~90km/hの車を狙い打ちにします。
ネズミ捕りをやっているのは大抵休日の午前中。事故が最も多い夕方や深夜にネズミ捕りをやっていることはほとんどなく、正午きっかりに撤収を始める風景を見かけることもあるでしょう。
つまり、60km/h制限を守らせる気は端からなく、たまに20km/hオーバー以上を狙い打ちにして取締を行っているのです。現実には80km/h程度で流れていることをわかっていながら、それ自体をどうこうする気はない警察。一体何故でしょう?
集める反則金には予算がある!
自動車で50km/h制限の道を90km/h位で走行していたら白バイに捕まり、78km/h位で計測された用紙を見せられて「良かった。一発免停じゃない」とホッとしたことがある人はいませんか?
どう考えても30km/h以上超過していたのに、計測はそのちょっと下。何だか警察官の恩情で免停にならずに済ませてくれたようにすら思えますね。
しかし、これも理由は違うのです。反則点数4点以上の非反則行為(赤切符)は、最初から刑事処分確定の犯罪です。反則金を納めてオシマイとはならず、検察庁に出頭して略式裁判を受けて罰金を納めることになります。そこで一つの事実が浮かび上がります。
罰金は国庫に入って終わりだが、反則金は都道府県にキックバックされる
さらに恐ろしい事に、この反則金徴収額には「予算」があります。年度が始まる前に「今年はどれだけ青切符の検挙をしてカネを払わせるか」というのに予算が組まれているのです。
総務省が悪びれもせずに予算を公開していますね。平成26年度は701億円だそうです。
罰金は他の刑法犯の罰金と同じく、国庫に入って普通の使われ方しかしません。しかし、反則金は一旦国庫に入った後に、「交通安全対策特別交付金」に名を変え、各都道府県にキックバックされて、信号機やガードレールなどの設置・保守の為に使われます。だから、警察にキックバックされるわけではない、というのが警察の主張です。
でも、自分の周りに「信号機やガードレールを設置する会社に就職」した友達はいますか?
まずいないでしょうし、いるなら是非聞いてみましょう。その会社には警察OBがどれだけいるのか?と。
警察官は数が必要なので、結構沢山採用します。でも、定年後のポスト等はたいした数は確保できません。結果として、警察官は定年前に退職して民間に再就職する事が多いのですが、この再就職はどこが多いか知っていますか?それは…
免許更新や免停講習の時に見かける「交通安全学校」とか、前述の信号機設置などの特定企業なのです。
つまり、反則金を納めてもらえなければ、これらの仕事が成立しません。極端な話が、誰も違反しなくなったら、警察OBの再就職先がなくなるのです。
もちろん、こういう質問を直接警察にぶつけてもちゃんと答えてはもらえません。
※「反則金徴収額には予算がある」という情報が広まり始めてから、警察庁は反則金の流れをわかりにくくする為に一般会計を迂回して交付金予算を要求するようになりました。実態は何も変わっていないのにシステムを複雑化してバレにくくするという官僚がよくやるフザけた小細工です。
事故が多いほど交付金が沢山もらえる!
私は以前、警視庁の情報公開センターで「交通安全対策特別交付金の額はどうやって決まるのか?」と質問したことがあります。
返答は「特別な計算式を用いて、事故数・違反数などを根拠として算出している」でした。ところが後で色々と調べてみると、この交付金の額は違反数ではなく事故数・人口・道路の長さなどで決まっています。
実際には「都道府県基準額」「指定都市基準額」「市町村基準額」の3種類がありますが、わかりやすいサイトがありますのでリンクを貼らせていただきます。
反則金のゆくえ:http://www.web-pbi.com/speed3.htm
このように、交通事故が多い都道府県に多くの特交金が流れる仕組みになっている。とうぜん都道府県をへて、警察に配分される予算も増加する。つまり、都道府県警察は、事故防止に効果があがってしまったら(事故が減ったら)特交金が減ってしまうことになるのである。したがって、事故を減らさずに予算を消化しつづけることが、“お役所警察”にとっての最善の手法になるのである。これが「警察のパラドックス」だ。
リンク先を読んでもらえばわかりますが、交付金額の計算方法はざっくり言えば
その都道府県の交通事故発生件数/全国の交通事故発生件数
になっています。
もう、わかりますよね?警察としては事故が減ってしまっては困るのです。
警察のロジック
- 事故が減ったら交付金が減ってしまう
- とはいえ交付金と同額程度の反則金徴収額には予算がある
- 事故は減らさずに効率的に検挙したい
- 法律を厳しくしておいていつでも検挙できる状態を維持したい
- 事故防止とは出来るだけ無関係な安全そうな地点で、安全だと判断して軽微な違反をする運転手を集中的に検挙する
- そうすれば安定して反則金が稼げる上に事故数も減らないので理想的
という構図が出来上がっているということですね。何たる腐敗ぶりでしょう?
結果として、事故に繋がる危険かつ悪質な違反は出来るだけ取り締まらず、事故とは無関係な軽微な違反(青切符になる反則行為)ばかりを取り締まっているのが警察です。
交通事故統計2013を読み解く②[警察は反則金が欲しいだけ]
で示した通り、今や取締りの95%以上が軽微な反則行為の取締りです。警察が交通事故を減らす意思がない事は明白ですね。
マンパワーが限られているなら、事故に直結する悪質かつ危険な違反を重点的に取り締まるのが当然ですが、警察が欲しいのは反則金であり、事故はむしろ減り過ぎては困るのです。
今まで「警察=正義」という幻想を信じ込まされてきた人にとっては信じられない話かもしれませんが、「領収書を偽造して捜査費を裏金化する」警察にとっては極当たり前のことなのです。
まとめ
- いつでも取り締まれるように、現状に合わない交通規制をあえて採用
- 交付金額と同額の反則金徴収が最初から予算に組まれている
- 事故が減ると交付金も減ってしまうので、事故が減らないように検挙するのが警察の仕事
- 事故とは無関係な軽微な違反を中心に取り締まる