今年度はコロナ禍で行楽を控える方が多かったため、どこの警察も反則金徴収額の予算達成が危ぶまれていて困っているようです。
他府県からの行楽客を見通しの良い直線道路で速度超過が取り締まったり、標識がわかりにくい場所での右左折禁止違反や一時不停止で取り締まりまくって、休日午前中のせっかくの観光気分を台無しにして、家族旅行なら夫婦喧嘩の原因を作るのが警察の仕事ですからね…
反則金徴収額の予算は年度初めに決定済みですから、コロナで交通量が減っても取締りノルマは変わりません。愛知県警ではついに禁断の「因縁さえ付ければいくらでも取り締まれる横断歩行者等妨害」での取り締まりを始めたようです。
停止せず通過した車を検挙…横断歩行者妨害の一斉取り締まり 警察の担当者「優しい気持ちで道譲って」
1/12(火) 23:07配信
悪質なドライバーから歩行者を守ろうと、愛知県で12日、横断歩行者妨害の一斉取り締まりが実施されました。
横断歩行者妨害の取り締まりは県内45カ所で一斉に実施され、このうち名古屋市緑区の徳重では警察官10人が交差点脇に立ち、歩行者が渡るのを妨げる車がないか目を光らせました。
午後5時から始まった取り締まりでは、横断中の歩行者がいるのにもかかわらず停止せずに通過した車が検挙されました。
愛知県警交通指導課 笠井拓次長:
「愛知県は死亡事故が多発する県です。横断歩行者を見たら優しい気持ちで道を譲っていただきたい」警察によりますと、月別の交通事故で死亡した歩行者の数は去年までの5年間では1月が最も多く、正月明けで人の動きが活発になることが原因とみられています。
問題点1:事故防止が眼中にない
他の交通違反の取締りも同様ですが、交通違反が事故原因であると仮定するなら、違反させてから取り締まるのではなく、違反させないようにするのが警察の仕事であるべきです。
警察は「違反を取り締まる事によってドライバーに違反しないように意識させるのが取締りの目的」みたいな詭弁を弄しますが、事故が多発する交差点などは限られているわけで、交差点に10人もの警官を配置する余裕があるなら、事故が多いポイントに事故が多い時間帯だけでも警官を立たせて交通整理でもさせておくのが一番です。
一時不停止の取締りでよくあるのが、その先の物陰に隠れて違反者が現れるのを待ち構えるパターンですね。
今回の横断歩行者等妨害についても、違反車両が歩行者の直近を通過するのを待ってから取り締まっていますよね?
今日9000円取られた記念。これで横断歩行者妨害。渡るならちゃちゃっと渡っちゃってくれよお姉ちゃん#取り締まり #ドラレコ pic.twitter.com/Pa0yjYPaPF
— Gmr (@TweetingGmr) June 1, 2018
横断歩道付近に警官を立たせて棒でも振らせておけば誰も違反せず、不幸な交通事故も起きないでしょうに、わざわざ違反するまで待っている間に事故が起きたらどうするつもりなのでしょうか?
違反しないのが当然なのだから未然に防止する必要はない?そんなことを言ったら世の中のあらゆる警備システムや警備員を配置しているのも意味がなくなってしまいます。
泥棒がいる前提で家にカギをかけるのではないですか?
政府要人の住居には24時間365日警官が立って警備していますが、一度侵入させてから捕まえないと犯罪抑止にならないと主張しているのが交通違反の取締り方法になっていませんか?
交通事故は下手すりゃ人が死ぬのです。呑気に将来の違反を減らそうとなんかしていないで、目の前で起こりそうな事故防止に全力を挙げた上で、警官の抑止を無視して突破するようなアホだけ取り締まって免許取消とかにすればいいのです。
問題点2:横断歩行者等妨害は場所によっては遵守できない
横断歩行者等妨害は、道交法では以下のように規定されています。
第38条
車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
要するに「歩行者や自転車が横断歩道を渡ろうとしている時は一旦止まって先に行かせてね」というルールですが、このままでは基準が曖昧なので警察の胸先三寸でなんでも違反に出来てしまいます。
なので、措置要領では以下のように規定されています。
イ 「横断しようとする歩行者」とは
○ 車両等が横断歩道の直前に到着した場合に、歩行者が自動車の前部の左右いずれかの側5メートルくらいの距離に接近してくれば、それは「進路の前方を横断しようとする歩行者」である。
○ 車両等が横断歩道の直前に到着した場合に、歩行者が自動車の前部の左右いずれかの側から遠ざかりつつあるときは、歩行者と 自動車の前部の歩行者に近い側とが1メートル以上空けば、その歩行者は、ここにいう「進路の前方を横断し、又は、横断しようとする歩行者」に当たらない。
工 「その通行を妨げた」とは
歩行者が自分の通行の速さを変えるか、又は立ち止まるかしなければならなくなるような場合をいう。たとえ一時停止したとしても結果的に歩行者の通行を妨げれば、本項の違反になる。
まとめるとこうなります。
- 歩行者の前方5メートル以内を通過した
- または歩行者の後方1メートル以内を通過した
- かつ、歩行者が通行の速さを変えるか立ち止まったら妨害したことになる
では現場の警官がこれらの基準をちゃんと守って取り締まっているかって話なんですが、当然そんなにちゃんとはやってません。酷いのになると、歩行者が通過するまで待ってから1m以上の間隔を空けて通過したのに「急に戻ってきたらどうする?」とか言って検挙してくる例もあります。
さて、とりあえずこの「前方5m・後方1m」という基準を元に以下の場所を見て下さい。
渋谷の道玄坂に出てくる脇道です。
今はコロナで多少は人手が減っているでしょうが、通勤時間帯や土日の混雑時に歩行者同士の間隔が6メートルも空くことなどまずありません。あると思っているのは田舎者だけです。
この法令を遵守していたら1時間経っても通過出来ません。
なので、現実的には一時停止した後に様子を見ながらジワジワ進んでいって、心が広い歩行者が立ち止まって譲ってくれたら通過しますよね?
はい。その時点で歩行者が立ち止まったので通行を妨げたことになって違反が成立します。
私は別に第38条に存在意義がないと言っているのではないのです。これを適用して取締りまで行うなら、先に歩行者の通行量が桁違いに多い上述のような場所には信号機を設置するなどして「守ろうと思えば守っていてもちゃんと運転が出来る状態」を作ってからにしろと言っているのです。
結果的に、多くのドライバーは時と状況によって、横断歩道手前で止まって歩行者を先に行かせたり、車が通過したら渡ろうと待ってくれている歩行者の前を先に通過したりするわけですが、譲ってくれたからと通過したらその先で警官が待ち構えていて検挙されたりするのですからやってられません。
「私は横断歩道手前ではちゃんと止まって歩行者を先に行かせている」と主張する方は、是非平日朝の通勤時間帯か休日夕方に上述の渋谷の交差点にトライして下さい。今はコロナのお陰?で通過出来るタイミングもあるかもしれませんが、人手が多い日は1時間以上止まっていることになり、後ろに何十台も車が詰まって交通麻痺を引き起こしますよ。
問題点3:取締りをしても事故は減らない
これが最大の問題点なのですが、日本の道交法は細かすぎたり、制限速度が実状に合っていないため遵守が難しく、結果的に運転者全員が常に何らかの違反をしている状態になってしまっているため、警察が交付金予算確保のために「出来るだけ事故が減らない違反の取締り」を頑張っても事故は減りません。
自動車の安全技術の進化などによって交通事故自体は減少傾向が続いていますが、それでも交付金が更に減ってしまって困る警察が考え出した「自転車は車両だから車道を走れキャンペーン」によって、Uber Eatsを筆頭とする車道を走るチャリ族による事故が順調に増加している最中です。
大事なことなのでもう一度言いますが、取締件数と事故発生件数には因果関係も相関関係もありません。
「警察が取締りをやめたら勝手な運転をする輩が増えて事故が増えるだろう」と感覚的に思うのは勝手ですが、ほとんどのドライバーは「安全か危険か」を判断基準に運転しています。
制限速度が不思議に40km/hの道路でも、実勢速度が60km/hで見通しも良く歩行者もいない路線なら、多くのドライバーが実勢速度に合わせて運転しています。40km/hビタで走っているのは教習車と「追い付かれた車の義務違反」の悪質常習違反者だけです。
逆に同じ制限速度40km/hの道路でも、住宅街でいつ子供が飛び出してくるかわからないような場所なら、多くのドライバーが曲がり角付近では減速して安全確認をしながら慎重に走っています。気を付けていないのは一時停止を守らない自転車の方です。
しかし、自転車の違反は仮に取り締まっても罰金になってしまって反則金にはならないので、警察が取締りをしていたのは「自転車は車道を走れキャンペーン」を始めた最初だけでしたよね?
自動車・バイクの取締りをしても事故は減らないのですから、今回の愛知県警の「予算達成のための集中取締り」で検挙された方は、ただ反則金を支払わされただけで事故防止には寄与しません。警察という合法ヤクザに通行料を取られただけの被害者です。
まとめ
私は交通規制に意味がないなんて思っていません。むしろ強化すべき所は強化し、不要な条文は削除して、路面やタイヤ、自動車の進化と実状に合わせた「ちゃんと守っても安全かつ円滑な交通が維持できる規制」にした上で、「違反したらかなりの高確率で捕まる」状態にしないと意味がないと思うのです。
幹線道路の制限速度は諸外国並みの80km/hで良いでしょうし、歩行者・自転車優先のルールにしても、幹線道路と生活道路では分けて考えるべきです。
道路の端っこを無駄に青く塗る予算があるなら、生活道路は歩行者・自転車優先&自転車も車道走ってよし、幹線道路の車道は車優先・自転車は許可車両以外車道走行禁止くらいのことはすぐにでも出来るはずです。
横断歩道は歩道ですから歩行者優先は当然です。ならば、横断歩道がない場所を横断している無謀な歩行者は片っ端から捕まえて罰金でも取るべきですし、幹線道路の横断歩道外での事故では歩行者側の過失割合を50%以上にしないといつまで経っても事故は減りませんよね。
最後に1枚。夜間に車道の真ん中で寝てる酔っ払いに気付かず轢いたら車が100%悪いことになっているそうです。故意ならともかく事前発見が容易じゃなくても車が悪いって決めたヤツ頭おかしくないですかね?
コメント
横断歩道の手前で「優しい気持ちで道譲って」というのは
あくまで信号機のない交差点での話ですよね?!
先日、30km/h制限の時間帯一方通行の道路を走っていて、
少し先の信号が青に変わったのが見えて、余裕で間に合うと思ったのに
20㎞/hも出てないシルバーマークの車に追いつき、間に合いませんでした。
ここまでは仕方ないと思いましたが・・・
その車が青に変わっても発進しないので、クラクションを鳴らそうと思ったら、
歩行者が渡り始めるのが見えました!!
『(信号機の信号等に従う義務)
第七条 道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は
警察官等の手信号等(前条第一項後段の場合においては、当該手信号等)
に従わなければならない。』
歩行者用信号機がなくても、歩行者も車両用信号機に従う義務がありますよね?!
信号を守って渡らずにいた歩行者にわざわざ道を譲っていたので、呆れました。
そのせいで、その車が通過した後、また赤になってしまい待たされました。
対向車はなくても、横からバイクや自転車がすり抜けてくることもあるので、
余計な親切はしないでもらいたいです!!
何でもかんでも歩行者に譲れと言っている訳ではないのに、
マスコミの影響が大きいかなと思いました。
でも、私も1回だけ譲ったことがあります。
赤ちゃんを抱っこしているお母さんが、もう1人幼児を連れているのに、
サッサと横断歩道を渡ってしまいました!!
赤になって渡れなかった幼児に飛び出されたら怖いと思い、
後続車がいないことをバックミラーで確認した上で、渡らせてあげました。
弱者救済はいいですが、歩行者や自転車の安全意識が低過ぎると思っています。