煽り運転をされないための3つの方法

2017年6月に石橋和歩という名の「自分がバカであることが自覚できないバカ」が、PAで注意された事に腹を立てて高速道路の追越車線上で停車させて後続のトラックが夫婦をハネ殺してしまった事件以来、TVを中心に「煽り運転」というものが盛んに報道されるようになりました。

この事件自体は危険運転致死罪の適用によって懲役18年の判決が出ていますので、一段落ついているかと思いますが、彼がしたような「常軌を逸した危険運転」と「先行車両が、追い付かれた車の義務違反等を守らない為に車間距離を詰められてしまう事例」を混同してはいけません。

TVで報道されている異常な事件は、「常軌を逸した危険運転」であって、前に回り込んで停車させたり、抜かせようと車線を譲っているのに追い抜かずにぶつけに来るような犯罪行為を「煽り運転」と呼ぶのは本来おかしいです。

なので、ここでは「煽り運転」を「前方車両に対して車間距離を詰めて、進路を譲れとプレッシャーをかける行為」と定義します。その前提で読んで下さい。

私は日常的に2輪も4輪も運転しますが、煽り運転をすることもされることも滅多にありません。前方車両の異常な運転によって不意に車間距離が詰まってしまう瞬間はありますが、その後は車間距離を多めに取るか、抜けるならさっさと抜いてしまいますからね。

先頭を走っていて煽られることもありません。後続車が私よりも速いペースで追い付いてきたら、さっさと譲って先に行かせます。たまに前に「絶対譲らないマン」がいる時に後続車に車間距離を詰められることがありますが、そういう時も譲って先に行かせてしまうので、私を煽った車がその前方の「絶対譲らないマン」を煽っている様子はよく目にしていますが…

煽られる側に原因があることがほとんど

「煽られたことがある」と答えるドライバーに対するアンケートでは、以下のような結果が出たようです。

見た瞬間に思わず笑ってしまったのですが、

  1. 速度を落として運転していたとき…43.9%
  2. 軽自動車・小さめの車に乗っているとき…39.2%
  3. 追越車線をしばらく走行していたとき…16.0%
  4. 混み合う道で道を譲らなかったとき…11.9%

だそうです。2.を除けば「そら、あなたが悪いでしょ…」という感想しか出てきませんし、2.にしても円滑にキビキビ走行している軽自動車が煽られてるシーンなど一度も見た事がありません。

煽られる人がしている2つの誤解

煽る方も「車間不保持」という違反をしていますが、煽られる方にも違反があります。それは、

  1. 道交法20条「通行帯違反」
  2. 道交法27条「追い付かれた車の義務違反」

のどちらか、もしくはその両方ですね。

追い付かれた上に後続車は急いでいるようなのですから、さっさと譲って先に行かせればよいのに、至る所にいる「絶対譲らないマン」達は、上記の法令を知らない、または誤解しています。

一般道でも基本はキープレフト

まず、通行帯違反の方ですが、これもTVの影響なのかもしれませんが、勝手に「高速道路だけで適用される法律で、一般道では中央寄りの右側車線を走り続けても問題ない」と勘違いしている人が多いです。

通行帯違反は一般道でも適用されます。つまり、片側2車線以上ある道路では、少なくとも一番右側の車線は、追い越しまたは右折準備の時だけ走行し、追い越しが終わったら速やかに左側の車線に戻らなくてはなりません。

まあ、交通量の多い都市部では誰も守っていませんし、実際守れるものでもないですよね。しかし、警察の言葉を借りれば「違反は違反」なのですから、煽られたくないなら、空いている路線では追い抜いたり右折する気がないなら右側車線を走ってはいけません。

片側2車線の道路で、左側(歩道側)を走行していたのに煽られたのであれば「こんな煽り運転を受けました!」とTwitterとかで騒いでも構わないと思いますが、右側を走行しておきながら被害者面して騒いでしまうのでは、己が無知を晒しているようなものです。例えばこんな感じですね。

追越車線を走っていて、追い付かれているのに譲ろうとしていません。後続のバスも車間を詰め過ぎで焦った運転をしていますが、左からも追い抜けないあたりを見ると、この動画主が乗っていた車は走行車線を走る車と並走して「通せんぼ」をしている状態のようです。

通行帯違反及び追い付かれた車の義務違反で、状況的にもこれで譲らないのは悪質性が高いですね。

後続車がスピード違反してても譲る義務はある

道交法27条の「追い付かれた車の義務違反」でよく誤解されているのが、制限速度以内で追い付かれたら譲らなければならないが、後続車がスピード違反をしている場合(自分が制限速度上限で走っている場合)は譲らなくてもよいというトンデモ理論です。

道交法27条をきちんと読んでみましょう。

第二十七条 車両(道路運送法第九条第一項に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第五条第一項第三号に規定する路線定期運行又は同法第三条第二号に掲げる特定旅客自動車運送事業の用に供する自動車(以下「乗合自動車」という。)及びトロリーバスを除く。)は、第二十二条第一項の規定に基づく政令で定める最高速度(以下この条において「最高速度」という。)が高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。
2 車両(乗合自動車及びトロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端。以下この項において同じ。)との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、第十八条第一項の規定にかかわらず、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。
法律は、書かれている事が全てです。例外を認める場合はその例外についても規定していなければなりません。
道交法27条では「追いついた車両の速度よりも遅い速度で引き続き進行しようとするときも、進路を譲らなければならない」と規定されているだけで、どこにも「追いついた車が速度超過している場合を除き」とは書かれていません。
つまり、後続車が速度超過していようが何だろうが、追い付いてきた車よりも遅く走りたいなら進路を譲って先に行かせなさいというのが道交法の規定なのです。
さらに27条には重要な事が書かれています。第2項ですね。
「車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き」というのは、要するに片側1車線の道路のことです。そのような道路で追い付かれたら「できる限り道路の左側端に寄ってこれに進路を譲らなければならない」と書かれているのです。
片側1車線の道路で追越禁止区間の場合、遅い車が一台いるとそのせいで金魚のフンみたいに車両が連なってしまう場面を皆さんも日常的に目にしていると思いますが、あれは全て先頭車両が道交法27条に違反している悪質常習犯だからそうなっているだけで、本来ならば1車線道路であっても追いつかれたら左に寄って譲らなければならないのです。
こちらも後続車のスピード違反は関係ありません。それはそれで違反ですから警察が捕まえれば良いだけの話であって、追い付かれた側が譲らなくて良い事にはならないのです。

煽られないための3つのポイント

上記の事が理解できれば、煽られない運転は簡単です。
  1. 2車線以上の道路では、追い越しと右折時以外は右側車線を走らないこと
  2. 後続車がスピード違反をしていても追いつかれたら譲ること
  3. 片側1車線道路であっても、追いつかれたら左に寄って譲ること

たったこれだけです。

「そんな運転をしていたらまともに走れないじゃないか!」というような不満は本来警察にぶつけるべきです。道交法遵守は現実的に不可能なのですから。

交通違反に対する警察の理不尽な取締りの実態について語る時、必ず出てくる警察擁護派の主張は「そもそも交通違反をしなければよい」という嘘デマです。道交法遵守は不可能に近い守れない!自転車の交通違反の記事でも示しましたが、道路交通法の完全遵守は不可能に近いです。警察が取り締まらないので実効性のない条文ですが、道交法第27条はご存知でしょうか?追い付かれた車両の義務道路交通法第27条(追い付かれた車両の義務)第二十七条  車両(道路運送法第九条第一項 に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第五条...

前から感じているのですが、日本人が民度が高いとかモラルがあるとかいうのは嘘ですよね。ただ権威に弱く思考停止しているだけで、運転モラルの低さは先進国の中では下から数えた方が早いんじゃないでしょうか?

追いつかれても譲らず、他の車両と並走して通せんぼし、無駄な程の車間距離を開けてチンタラ走った挙句に黄色信号には突っ込んで自分だけ先に行くような車を見掛けない日はありません。

例えばドイツでは、事故等で渋滞している場合には緊急車両用に1車線分開けておかなければならないという法律があります。すると、こんな感じになります。

ドイツには緊急車両用に車線を開けておく法令があるから素晴らしいのではなく、このような合理的な法令をちゃんと守るドライバーが圧倒的多数であることが素晴らしいのです。

日本だって今回ご紹介したように、通行帯違反や追い付かれた車の義務違反は罰則付きで法令で規定されています。でも、圧倒的多数がそんなもん守っちゃいません。

それどころか、名古屋走りだの松本走りだの言って、悪質かつ危険な運転が地方の文化の一部になりかけているくらい民度が低いのです。播磨道交法(ウィンカーを出さずに曲がる)に至っては事故りたいとしか思えない殺人犯予備軍みたいなものだと思いますが、播磨地区が兵庫県であるというあたりに、このサイト常連の方々は諦観じみた納得をしてしまうでしょう…

煽り運転報道に対する私の見解は「煽り運転のほとんどは、煽られる側に原因があり、前方に回り込んで停車させるような危険運転は煽り運転とは呼ばない」ですね。

twitterはじめました

コメント

  1. tokyo23 より:

    私も早い車が来たらサッサと先に行かせるようにしていますが、一つ迷うのが暫定2車線の高速道路(自動車専用道路)です。NEXCOの車は一般車が来たらハザード点けてめいいっぱい路肩に寄せて先に行かせていますが、追越車線(付加車線)まで距離がある場合は我々も同じようにすべきでしょうか?路肩が狭いところもあり、なかなか躊躇してしまいます。

    • 取締り110番 より:

      それこそ煽られるようなら路肩が広めの場所で譲ってしまった方がトラブルが少なく楽でしょうね。
      そもそも道交法第27条違反は滅多に警察が取り締まらない違反項目ですから、譲らないと違反だから譲るのではなく、譲ってしまった方が安全かつ円滑な交通の維持に役立つと思えば各自の判断で譲れば良いと考えています。
      私の場合はどちらかと言えば追い付いてしまう側ですし、アホみたいに飛ばしてる車が後方に来たら、見通しの良い直線区間が来たらさっさと譲ることにしています。

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