[免停・反則点]交通違反の行政処分のカラクリ2[罰金と点数の関係は?]

前記事は免停等行政処分のカラクリです。

ビックリ!免停などの行政処分にはカラクリがあった!
さて、ブログ内の記事を精読していただければわかる事ではあるのですが、案外知らない人が多い行政処分のカラクリについてまとめてみます。かなり頑張って書いたので途中で挫折せずに頑張って読んで下さい。このブログは読者にも一定以上の知能と努力を要求します(笑)免停や免許証の更新は「行政処分」である。これが既に厄介な点なのですが、「刑事処分と行政処分は別進行」という原則があるため、理不尽な検挙によって切符を切られ、否認して検察官が不起訴処分(無罪)にしても、行政処分側は勝手に反則点が付加されて処分が執行され...

行政訴訟は敗訴確定。冤罪でも捏造でも全て「警察が正しい。処分は妥当」との判決が出るだけ。

私は警視総監を相手取り、二度ほど行政訴訟を起こした事があります。当然敗訴だったワケですが、私の訴訟での判決文を要約すると以下の2点になります。

  1. 警官は告知書(切符)捏造することが可能。しかし、それをする動機がないから捏造したわけがない。だから切符にも測定紙にも署名がなく、調書すら録っていなくても被疑者が違反をしたと認められる。
  2. 人違いの検挙で真犯人が他にいるとすれば、そいつを突き出すのは被疑者の責任。

私は開いた口が塞がりませんでしたね。刑事事件で物的証拠が一つもなく、警官が「見た」と言っただけで有罪になる例を見た事がありません(道交法違反を除く)。

現行犯で逮捕したような場合は、少なくとも「被疑者が現場にいたという事実」は、逮捕によって証拠が残されますが、その場は帰される道交法違反において、どの書面にも被疑者の署名がなく、調書を録った形跡もない場合、そもそも被疑者が本当に取締りを受けたのかを立証する者が、目撃したとする警官一人の目撃証言しかないのです。

つまり、冤罪作成がし放題。アリバイがなければ全くの無実で検挙すら受けていなくても切符を偽造して違反登録をすれば免停でも取消でも何でも出来るというわけですね。

で、実際に警官が交通反則切符を捏造しているのがバレた事例もあります。

警察は交通違反切符を捏造しています
交通違反の反則切符は、警官がその気になれば警察署内のデスクワークだけで捏造が可能です。私は以前からその事を訴えてきて、自分の行政訴訟時にもそれを指摘しましたが、裁判所の判決は「確かに可能だが、発覚したら重い処分を受ける事を知っている警官が捏造したとする主張は認められない」みたいな感じで敗訴しました。しかし、実際に警察は交通違反切符の捏造をしている証拠が出てきてしまいましたね。北海道新聞の記事森署幹部「内密にして」 交通切符捏造、違反者扱いの女性証言北海道新聞 11月28日(土)18時13分配信「なぜ私の...
だから交通違反の切符は捏造出来るって事ですよね?
警察は交通違反切符を捏造していますの続報です。被害者20人以上か 北海道・森署・交通違反切符の捏造容疑被害者20人以上か 北海道・森署・交通違反切符の捏造容疑https://archive.is/vP0Yf(魚拓)北海道新聞 12月1日(火)9時39分配信交通違反の点数切符を捏造(ねつぞう)したとして、虚偽有印公文書作成・同行使容疑で森署地域課巡査長の斉藤正樹容疑者(28)が逮捕された事件で、同容疑者が「捏造は(被害者)1人あたり1、2回やった」と供述していることが30日、捜査関係者への取材で分かった。同容疑者は今年4月以降、40回以上、...

一番驚いたのは2です。警察に誤認逮捕をされた場合に、真犯人を突き出す、もしくは真犯人が他にいることを立証する責任が被疑者にあるという趣旨の判決文だったのですが、これはいくらなんでもあり得ません。

検察挙証主義すら知らない裁判官がいるとは思えないのですが、そいつが犯人でその犯罪をしたという事実を「疑いの余地がない程度に立証」するのは検察(警察)の責任です。冤罪事件の場合には「真犯人は他にはいない」事を立証するのも検察(警察)の責任のハズですが、

どうもこの国では行政庁が根拠もなく下した処分を取り消したい場合は、処分を受けた側が「無実である事の証明」(悪魔の証明とも言い証明は不可能です)をしなければならないようです。

提訴出来るのは免停以上の処分か免許更新処分の後、反則点の付加だけでは訴えられない。

これもよくわからない理由ですが、不服審査請求についても行政訴訟についても、これら「行政処分を受けた後で不満がある時」しか訴えが出来ません。従って、免停以上の処分を受けた後か、不服がある違反によって反則点が付加された影響を受けた免許の更新を受けた後でないと訴えられません。

少し前までは「免停以上の処分を受けた後」でしか訴えは起こせず、「反則点が付加されたせいでゴールド免許ではなくなってしまった」というような例では「訴える資格がない」として棄却されるのが通常でした。判例はこれ。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/203/033203_hanrei.pdf

しかし、これを翌年の控訴審で高裁が判断を変えます。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/897/033897_hanrei.pdf

行政訴訟において高裁が過去の判例を覆すのは珍しい事です。通常は「ゴールド免許からブルー免許に変わっても運転手に具体的な不利益はない」とすると、「免許証の更新は行政処分には当たらない」として訴えを門前払いしていました。

それを高裁が覆した事に驚いた警察は当然上告します。そして出た判決がこれ。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/358/037358_hanrei.pdf

この判例が出た事によってようやく、「理不尽な検挙で反則点が勝手に付加されてゴールド免許ではなくなってしまった場合」に訴える事が可能になったのです!

ところがこれには続きがあります。箇条書きにすると以下の数点。

  1. 違反があってもなくても免許証の種類・期間が変わらない場合は訴えられない。
  2. 反則点の付加のみでは依然として「処分ではない」とのスタンスなので訴えられない。
  3. 訴えられるようになっただけで、相変わらず審査請求は棄却、行政訴訟は敗訴確定。つまり、反則点を取消す手段は依然としてないということ。

つまり、具体的なメリットは我々にはないわけですが、それでも前述の判例の意味は大きいです。結局負けるという点は変わらないとしても、

今までは訴えても弁論も開かれずに棄却されていたものが、少なくとも弁論が開かれて違反事実について行政処分側で争えるようになったということです。

つまり、冤罪の証明が可能な物証を持っていれば(映像でも音声でもよい。警察の不法発言を録音したものでもよい)処分の取消に一縷の光が差したということです。

まあ、私は楽観論者ではないですから、警察の暴言や職権濫用が成立しそうな言動を録音・録画出来ていたとしても、行政訴訟では「仮に取締時に警官が不法行為を働いたとしても、原告が道交法違反をしたという事実は変わらないため処分は妥当」という判決を出してくるだけでしょう。

しかしそれでも、訴訟が出来るようになった意味は大きいです。証人尋問で検挙した警官本人をとっちめることも出来るし、本当に無茶苦茶な検挙の様子を裁判所で流せれば、あるいは判例が変わって「この件に関しては警察がおかしい」と、出世を諦めた判決文を書いてくれる裁判官が現れる日が来ないとも限りません。

警察関係者の裏技?所轄からの抹消上申

行政訴訟法上の正当な取消の請求は前述のパターンでしか出来ません。ところが、これとは別に反則点を抹消出来る手段が見つかりました。とはいえ成功確率は限りなく低いですが…

それは、所轄署から運転免許本部に「反則点数の抹消上申をさせる」という方法です。

この方法だと免許証の更新処分まで待つ必要がありません。要するに検挙した警察署が「これは問題のある検挙だったから反則点数を消してやってくれ」と免許本部に上申してくれれば内々で反則点が取り消せるわけです。これについてはわかりやすいサイトがありますのでリンクを貼ります。

愛と感動の抹消上申

普通は違反自体が成立していたら抹消上申はされないのですが、このサイトでのレアケースとして、駐車違反の点数が抹消された事例が載っています。その理由として警察が違反の事実は認めた上で、

しかし、合法となる0・75mの余地を残して駐車した場合は、道路中央に車両が寄った場合の危険性、妨害性から判断し、取締りの妥当性・公平性を欠くものである…(中略)…是正措置を行い違反者の権利回復を図りたい。

と至極真っ当な事を言っているのです。これには私も驚きました。

とはいえ、ここで抹消上申してもらったドライバーが警察関係者ではないという保証はなく、普通なら検挙時に見逃す警察キャリア組の車両を違法駐車で検挙してしまい、後から合法的な抹消手段を探して実行したという予感もしなくはありません。

しかし、刑事処分の不起訴が「嫌疑なし」や「嫌疑不十分」による不起訴処分であれば、「起訴猶予だから違反は事実」という警察の屁理屈が崩れますので、刑事処分でこれらの不起訴処分が出たら、所轄署に行って「完全な不起訴処分だから反則点の抹消上申をしろ!」と暴れまくれば、これに応じてくる可能性もなくはないということですね。

抹消上申のハードルは高いと予想されますが、何もしないよりはマシです。青切符を無理矢理切られ、刑事処分は不起訴になったが反則点が付いて納得がいかないという方は、検察庁に不起訴処分決定書を発行するよう依頼して入手した上で、もしそれが「嫌疑なし」や「嫌疑不十分」であれば、所轄に乗り込んでひと暴れしてはいかがでしょうか?

よくある起訴猶予処分では応じて来ないと予想されますが、それこそ「刑事と行政は別」なのですから、ダメ元で乗り込んで暴れまくり、ついでに警察の不法な発言を録音出来たらそれを武器にさらに暴れるという手法を取ってみるのも一案だと思いますね。何しろ正規の行政訴訟法による手続ではどうやっても勝ち目がないのですから…

まとめ

  1. 免停等の「行政処分」は罰金のような「刑事処分」とは別
  2. 行政処分は受けてからでなければ訴えられない
  3. 訴える手段は3つあるが全て無意味
  4. 行政訴訟は必ず敗訴する
  5. 反則点の付加だけでは訴えられない
  6. コネがあれば抹消上申で取り消せる
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コメント

  1. 小竹向原 より:

    > 人違いの検挙で真犯人が他にいるとすれば、そいつを突き出すのは被疑者の責任

    すごいなぁ、これ
    こんな判例作っちゃって、このあとどうすんだろ?
    冤罪を訴えるすべての人に対して司法は「過去の判例に従い、お前が真犯人を連れて来い。話はそれからだ。」って言うのかな?
    ちょっと法律家に聞いてみたいな
    この判例をどう考えて、今後どう取り扱うのかを
    いやいやいや、これは大変な判決だと思いますけど

    ちなみに先月相談させていただきました城東警察署の千田巡査の暴力動画ですが、
    なんの音沙汰も無いので「限定公開」を「公開」に昇格させました
    これで関連動画やおすすめ動画にも名を連ねる仕組みになります
    再生回数、再生時間とも良く伸びていてうれしい限りです

    ・・・しかし、自分の身を自分で守りきれない国歌になりつつありますね

    • 取締り110番 より:

      行政訴訟ですので、処分が違法であることの立証責任は原告側(国民側)にある事になっています。だから行政訴訟はまず勝てないシステムになっています。

      裁判員制度を導入するなら、国や自治体が被告になる行政訴訟でこそ裁判員を入れるべきなのですが、凄惨な殺人事件なんかを審理させて、一生消えない守秘義務を背負わせるのですから、つくづくこの国は救い難いですね。

      守り切れませんし既に甚大な被害を受けていますよね。パナマ文書なんぞなくとも、ニホン自体が超富裕層や政治家にとっては丸ごとタックスヘイブンなのですから、権力者ほど税を納めずに足りない分は消費税などで庶民からかき集めているのですから。

  2. 天下り117 より:

    反則点の加点を回避する方法について、どの記事を見たらいいのかわからなかったので質問いたします。

    「見逃す」「警告で済ます」「誓約書を書かせる」「切符を切る」
    の中の切符を切られる前に事を収めるが、反則点を回避する方法ということでよろしいのでしょうか?

    • 取締り110番 より:

      切符処理されなければ点数の付加もありませんので、「見逃す」「警告で済ます」「誓約書を書かせる」のどれかで終われば一番です。

      切符を切られてから所轄に乗り込んで撤回させた例も存在しますが、これは実質的に切符を撤回させて警告指導に切り替えさせた事になりますので、一度付加された点数が抹消された例は非常に少ないです。

      「反則点の加点を回避する」=「切符を切らせずに警告指導処分で妥協させる」だと考えていただいて構いません。

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