[交通違反]罰金ではなく反則金・点数は減点ではなく加点方式

最初にお断りしますが、この記事には大した情報は書かれていません。

最近アクセス数の増加に比例して、数多くのコメントやご質問をいただくようになりました。公私共に忙しい為に対応が遅れがちな事をご容赦願えれば幸いです。

さて、実質的にはどうでもよい点なのですが、名称や認識が誤っているコメントが多く、言葉に敏感な私としては読む度に違和感を感じてしまうものとして、代表的なものが2つあります。

青切符の反則行為で渡される納付書で納めるのは、「反則金」であって「罰金」でも「違反金」でもありません!

駐車違反を出頭せずにいると「主な使用者」の所に届くのが「放置違反金」です。これは行政処分に当たる違反金のことであって、その他の違反で青切符を切られた場合に納付書で振り込めと言われるのは「反則金」です。

道交法違反といえども、本来は立派な特別刑法犯(私はかなりの累犯ですね。)ですから、裁判にかけて罰金刑などに処するのが本来の姿です。しかし、道交法違反は件数が多すぎる(検挙数だけで年間800万件以上)ため、全てを裁判にかけていると裁判所がパンクしてしまいます。

そこで出来たのが「交通反則通告制度」という通称「反則金制度」です。これは本来罰金刑や科料に問うべき被疑者が「反則金」を納めれば刑事処分については処分をしないというウルトラCの制度です。要するに金で罪を逃れる公然賄賂制度です。

運転手側にとっては、裁判を受けずに済むというメリットがあります。一方で警察にとっては、反則金が都道府県に還流され、都道府県における警察の権力増加、及び警察OBの天下り&受け皿会社の資金源となります。これについては、関連した記事をご一読いただきたく思います。

交通違反で理不尽な取締りが多い理由は交付金?
※2018.10.15に再編集しました。道交法くらい誰でも知ってるし、交通ルールもわかってます。しかし、実際には違反をしてしまう人が多く、たまに検挙されて悔しい思いをすることも多いでしょう。「しまったなぁ」くらいに捉えてしまいますが、道交法違反も立派な犯罪。特別刑法犯なのです。他の刑法犯罪とは無縁な善良な市民が、何故特別刑法を犯して検挙されるのでしょうか?そして、違反したのは自分なのに、どうして取締に納得がいかないことが多いのでしょうか?理不尽な取締りが多い理由道交法が現実の交通とかけ離れている片側2,...

一方で「罰金」というのは、裁判を受けて罰金刑を宣告された者が支払う金銭の事です。略式裁判に応じた場合、及び公判請求されて正式裁判で罰金刑が出た場合がこれに当たります。

罰金刑は立派な刑罰ですから、晴れて「罰金刑の前科一犯」となります。しかし、交通違反の前科は一般刑法犯の前科とは異なり、5年間だけ警察の記録に残りますが、5年以降は参照されなくなります。普通の解釈としては「5年で消える前科」と考えればOKです。

そんなわけで、一部のおかしな会社を除けば、罰金刑を受けた程度で大したデメリットはないのですが、それでも「反則金」と「罰金」は全く異なるものです。

反則金を納めずにいると送検され、出頭要請が来たら出頭して否認すると99.9%以上が不起訴になりますので、罰金刑を受けるわけもなく、反則金改め罰金(送検以降は反則金ではなくなりますね)の支払義務はなくなります。 …はあ…私は過去に一体何回このフレーズを書いたことでしょう…

反則点数は減点方式ではなく加点方式

これはまあ呼び方の違いだけでどうでもいいと言えばそうですが、反則点は「付加」されるものであって、原理上は上限はありません。

泥酔して死亡事故でも起こせば一発で55点なんて点数が付く事もあります。減点法だと思われている方が「-6点で短期免停。-15点で免許取消」と認識されているのであれば、解釈の違いだけなので特に問題はありませんが、欠格期間の問題もありますので、正しく加点方式で理解しておいた方が無難です。

「減点は避けられませんか?」という質問を読む度に、「だから加点だって…」というツッコミを入れるのが面倒臭いというのが本音です(笑)

冗談はさておき、確かに細かい事かもしれませんが、

今後警察と対峙していくからには、法律論や言論での勝負となるわけですから、日頃から正しい言葉を使用するように心掛けて下さい。「否認しても減点されるんですか?」と聞いてしまった瞬間に、「こいつは法律や行政処分のシステムを知らない無知な野郎だ」と見抜かれてしまう事にもなりかねません。

と、いうわけで、コメントや質問をいただく際には、これらの呼称や解釈について誤解のないようお願い致します。

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コメント

  1. アラフィフ より:

    『交通実務の手引』を読み返しています。

    「交通反則通告制度」
    (S43.7.1実施、S45.5.21少年にも適用)
    より前に、
    「交通切符制度」
    (S38.1.1 東京等の成人事件で実施→S38.4.1少年事件も適用、
     S40.4全地域の成人事件に適用→S41.10全地域少年事件にも適用)
    ができていたのですね。

    「この制度は、新しい制度が創設されたものではなく、また、
     刑事訴訟法第6編に規定する簡易な裁判手続きであるいわゆる
     「在庁略式手続」と 交通事件即決裁判手続法による手続きである
     「即決裁判手続」の制度を改めたものでもなく、この2つの手続きに必要な
     警察、検察庁、裁判所が各々作成していた書類を統合し、1つの書式を
     3者が共用することによって、2つの手続きによる制度を最大限に簡易化し、
     迅速処理を可能ならしめた制度である。
     (~中略~)
     また、この制度は、違反者の常駐警察官のもとへの出頭から、取調べ、
     起訴、裁判及び執行という一連の手続きを違反者の出頭した日に
     流れ作業的に短時間で行うことができる(いわゆる即日処理)という点で
     能率性を有し、違反者にとっても1回の出頭ですべての手続きが終り、
     時間的な負担を軽減するという利点があるわけである。」(15頁)

    『流れ作業的』という言葉が引っかかりました。
    結果はすべて同じことを意味してますよね?!
    「一連の手続き」と言っているのだから、
    文法的にもわざわざ入れる必要ないのに!と思いました。

    「交通切符の作成に要する経費は、裁判所1.3、検察庁4.3、警察4.4(…略…)
     少年事件を家庭裁判所に送致する場合の送致書の作成に要する経費は、
     裁判所6、検察庁3、警察1の割合で負担することとされている。」(38頁)

    警察が作成しているからと言って、全部負担ではなかったのですね。
    制度を理解していれば納得で、経費が税金であることには変わりないですけど。

    『交通切符制度運用上留意すべき事項』として
    「2 交通切符制度の適用
     交通切符は、送致を必要と認定した違反事件について作成し、
     その他の軽微な違反については、警告その他の指導措置を講じ、
     この制度の趣旨を誤り、件数主義に陥ることのないよう
     留意する必要がある。」(74頁)

    神奈川県の『交通事故防止推進要綱』の「4 効果的な交通指導取締り」の
    「(2) 適切な現場是正
     軽微な違反については、看過することなく必ず指導警告等の現場是正に努める。」
    と同様のことが、ここにも書かれています。

    有言実行してもらいたいものです!!!!

  2. 志村 文健 より:

    はじめまして。志村と申します。夜分遅くにメールをして申し訳ありません。
    私は、8月4日(火)の仕事中に交差点で左折時の信号無視で、告知書の交付という取締りを受けました。
    ただ、私には赤信号で交差点を左折した認識はないので青キップにはサインはせずに、反則金の納付書も受け取らずにその場を離れました。でも、どうしても告知書の交付には納得出来ずに困っていたところ、このサイトにたどり着きました。
    サイト内では行政処分の撤回に成功した方や上申書という物を使い、結果行政処分を免れた方の記事を拝見しました。
    私には皆さま方のような知識や討論する術を持ち合わせていないので、サイト運営者様のお力添えやアドバイスをいただけないかと思いメールさせていただきました。今後の動きについて何かアドバイスや方法をご教授願いたく思っております。よろしくお願いします

    • 取締り110番 より:

      交通違反の否認に限らず、物事には正解というものはありません。このサイトの内容を元に考察し、自分の判断で行動して下さい。結果責任を負うのは私ではありませんからね。

      基本的には、当日か翌日に所轄に乗り込んで暴れない限りは撤回されませんし、乗り込んで暴れても撤回されない事の方が圧倒的に多いです。サイトに載っているのは、折れない心で頑張った結果として、撤回や取消に成功された方の例であって、同じようにすれば毎回成功するワケではありません。二ホンは人治国家ですから、誰が担当者かによって処分や刑罰が変わるのです。

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