警察庁が「被疑者の車両にGPS発信機を勝手に付けていいし、バレないように捜査書類にも書かなくていいよ!被疑者に人権なんかないから!」と通達していた事が判明しました。
被疑者 = 犯人
ではありません。確定死刑囚から再審無罪が出るような国なのですから、警察が疑っているからといって、知らぬ間にGPSで追跡されても文句を言うなという論理には賛成できません。
毎日の記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170201-00000005-mai-soci
捜査対象者の車などにGPS(全地球測位システム)発信器を付けて居場所を把握する捜査について、警察庁が2006年6月に全国の警察に通達した運用要領で、実施状況を容疑者側に伝えず、捜査書類にも記載しないなどと明記し、秘密保持の徹底を求めていたことが分かった。捜査書類への記載がなければ裁判所や弁護人らによるチェックを妨げることになり、恣意(しい)的な捜査につながることが懸念される。
GPSを使った捜査について警察庁は裁判所の令状の必要がない任意捜査と位置付けてきた。06年の通達はGPS捜査の「目的」「使用要件」「使用手続き」などをまとめたものだが、同庁は捜査に支障が出るとして多くの内容を非公開としていた。通達に「保秘の徹底」の項目があることなどは明らかになっていたが、全容は判明していなかった。
関係者によると、窃盗罪などに問われた男の公判で、東京地裁が昨年11月、弁護側の請求に基づき検察側に「保秘の徹底」項目の開示を命じた。警察庁がGPS捜査の実施状況について「文書管理などを含め保秘を徹底する」と明記し、容疑者の取り調べでGPSを用いたことを明らかにしない▽捜査書類にはGPSの存在を推知させる記載をしない▽事件広報の際はGPS捜査を実施したことを公にしない--との3項目に特に留意するよう記していたことが分かった。
警察庁は「GPS捜査の具体的方法を推知させることで犯罪を企てる者に対抗措置を講じられる恐れがある。通達内容は最高裁判決を踏まえ適切に検討していきたい」とコメントした。
令状のないGPS捜査についてはプライバシー侵害を理由に名古屋高裁が「違法」としたが、合法とする高裁判決もあり、判断が分かれている。最高裁大法廷は今春にも初めて統一判断を示す見通し。
警察の主張をまとめてみます。
- GPS発信機をこっそり付ける事を被疑者には知らせない
- GPS発信機をこっそり付けるのに令状は要らない
- GPS捜査をした事を捜査書類には残さない
- GPS捜査をした事を公にはしない
どこからどう見ても監視社会を作りたがっているとしか思えません。
これってどこの北朝鮮の話でしょうか?
普通に考えれば違法
被疑者が疑わしい事を示すある程度の証拠を集めた上で、裁判所の令状を取った上での捜査であれば、一定の理解は可能です。組織犯罪などを挙げる為には有効な手段でもあるでしょう。
しかし、争点は「令状なしで警察単独の判断で勝手にやってよいのか?」です。
もちろん、ダメです。
だからヒラメ裁判官ばかりの大阪高裁を除けば、どこで裁判をやっても「違法」という結論しか出ません。
令状なしに捜査対象者の車にGPS(全地球測位システム)端末を取り付けた捜査手法を、名古屋地裁が「違法」と判断した連続窃盗事件の控訴審判決が29日、名古屋高裁であった。村山浩昭裁判長は、令状発付が必要な「強制処分」に当たるとして1審同様「違法」と判断。さらに、GPS端末を利用した捜査全般に関して「新たな立法的措置も検討されるべきだ」と指摘した。
違法という判決が出ても、警察関係者から誰も逮捕者は出ず、誰も責任を取らされません。
笑えるのは大阪高裁の「プライバシー侵害の程度は大きくないから重大な違法ではない」ですね。
そんな論理が通るなら、ストーカー野郎が好きな女性の車やカバンなどにGPS発信機を仕込んで行動を追跡し、先回りして待ち構えていたとしても「プライバシー侵害の程度は大きくないから重大な違法ではない」という事になりますね。
被疑者というのは「犯人かもしれないと警察が思ってる者」以上の意味はありません。本当に無実の者も多数いるでしょう。
そもそも警察は、国家的監視システムであるNシステムの運用状況についても情報の開示を拒み続けています。
Nシステムのカメラは、ナンバーどころか運転者と助手席の乗客の顔までくっきり写せるものなんですが、変態さんが街中の女性やビーチの水着女性の写真を撮ったら犯罪だと言うなら、本人に無許可で位置情報付で画像収集をしまくっているのも犯罪でしょう。
疚しいから隠す
GPS捜査が合法で必要な措置だと考えるなら、ちゃんと令状を取った上でやればよいだけの話です。令状が出たらある程度の人権が制限されるのは法令上は仕方のない事ですからね。
しかし、警察の主張は「令状は要らない。GPS捜査をした証拠は残すな」です。
やってる事に疚しさがあるから隠そうとするのでしょう?
証言によると、2012~14年に関東や九州で発生した広域窃盗事件の捜査で、警視庁などの合同捜査本部がGPS捜査を実施。捜査員が被告らの車にGPS端末をテープで貼り付け、私有のスマートフォンで専用画面にログインし、位置情報を検索した。現場の捜査員に捜査幹部がGPSの使用を許可する「使用承認書」は内部文書として残したが、検索回数など具体的な使用状況は残さなかった。捜査書類ではないメモ類は捜査本部が解散した時に廃棄したという。
また、被告はGPS端末に気付いて車から外してバッグに保管していたが、警視庁が押収。しかし、押収品目録などには「衣類等一式」「白色の塊」などと記載し、弁護人らがGPS端末と分からないようにしていた。捜査員は「捜査手法をあえて相手に伝える必要はない。警察庁の運用要領に従った」と証言。弁護人の坂根真也弁護士は閉廷後「ずさんでかなりルーズなGPS捜査の実態が明らかになった」と述べた。
勝手に付けて私物のスマホで検索。どこからどう見てもストーカーですw
オマケに押収した時も「白色の塊」と書いてGPS発信機だとわからないように隠蔽工作までしていますね。GPS発信機を見て「白色の塊」と書いてしまうような警察官の証言に証拠能力などないでしょう…
令状を必須にすれば少しはマシになる
裁判所や裁判官も相当腐っている国ですが、警察に任せるよりはまだマシです。
裁判所の厳しい見方が続く中、見直しの動きも出ている。千葉県警は昨年、自動車盗事件で全国で初めて令状を取ってGPS捜査を実施。令状には、捜査に支障がなくなった段階で容疑者に対してGPS端末の使用を示すなどの条件が付されたという。
ほらね。令状を取ろうとすると、少しはマシな条件が付されたりするのですから、GPS捜査には令状を必須とすべきです。
さて、最高裁はどういう判断をするでしょうか?
共謀罪まで作って監視社会を作りたい安倍自民が、国民の権利を守るような法整備をする訳はありませんから、裁判所お得意の「違法とまでは言えない」というマジックワードで合法化してしまうのでしょうか?
だったら一時停止を徐行で通過しようが、多少の速度超過をしようが、事故を起こさなかったのであれば、次のような判断が出来るハズです。
「外形上の違反行為があったとしても、道路の安全かつ円滑な交通の維持に対する侵害の程度は大きくなく、それだけで直ちに違法とまでは言えない」
でも、「違反は違反」なんでしょう?だったら勝手にGPS付けたら違法だから関係者を逮捕して送検すべきです。どうせ不起訴でしょうがw