新型コロナウイルスが世界中でパンデミックを起こし、世界中が集団ヒステリーを起こしている今日この頃ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
緊急事態宣言下で、三蜜がどうのソーシャルディスタンスがどうのと言っては、仕事で来ている医者や物量業者もいると言うのに、県外ナンバーを叩く愚か者達ばかりの国ですが、残念ながら新型コロナウイルスに対しては外出自粛もロックダウンも意味を成しません。我々は今、みんなで自粛して経済を破壊し、雇い止めや収入が激減して貧困に落ちていく人々を見殺しにしている最中です。
協調圧力の強い日本社会では、この無意味かつ有害な外出自粛要請にある程度は従っていないと、自分や家族が社会からの白眼視をされるという地獄のような状態になっていますが、せめてこのブログの皆さんには「客観的な事実」を知っておいていただき、近所付き合いの為にある程度の自粛には応じるにしても、心まで「他者に対する不信」というウイルスに感染しないようにしていただけたらと思います。
石器時代レベルまで戻さない限りは感染拡大は防げない
現実を見ないアホな専門家と、アホな専門家の主張をさらに誇張して伝えるマスコミ、また、幼い頃からの習慣や思い込みによって、日本人(あるいは世界中の人々)の多くは「人との接触を出来るだけ減らして自粛生活をすれば新型コロナへの感染を防止できる」という妄想に取りつかれています。
しかし、それは残念ながら妄想です。もちろん「新型コロナが完全に終息するまで病院内のクリーンルームで過ごす」とか「物流も含めて海外からの渡航や輸送が一切ない離島で自給自足生活をする」くらいの対策を取るなら防げると思いますが、それ以外の場所では抑え込みは不可能です。
サピエンス全史という名著の著者であるハラリ氏の寄稿を読んでみましょう。
人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結をより
感染症は、現在のグローバル化時代のはるか以前から、厖大ぼうだいな数の人命を奪ってきた。14世紀には、飛行機もクルーズ船もなかったというのに、黒死病(ペスト)は10年そこそこで東アジアから西ヨーロッパへと拡がり、ユーラシア大陸の人口の四半分を超える7500万~2億人が亡くなった。イングランドでは、10人に4人が命を落とし、フィレンツェの町は、10万の住民のうち5万人を失った。
1520年3月、フランシスコ・デ・エギアという、たった1人の天然痘ウイルス保有者がメキシコに上陸した。当時の中央アメリカには電車もバスもなければ、ロバさえいなかった。それにもかかわらず、天然痘は大流行し、12月までに中央アメリカ全域が大打撃を受け、一部の推定によると、人口の3分の1が亡くなったとされている。
1918年には、ひどい悪性のインフルエンザウイルスが数か月のうちに世界の隅々まで拡がり、5億もの人が感染した。これは当時の人口の4分の1を超える。インドでは人口の5%、タヒチ島では14%、サモア諸島では20%が亡くなったと推定されている。このパンデミック(世界的大流行)は、1年にも満たぬうちに何千万(ことによると1億)もの人の命を奪った。これは、4年に及ぶ第1次世界大戦の悲惨な戦いでの死者を上回る数だ。
14世紀に電車・車・飛行機などの移動手段はありませんでしたし、人の往来も今よりも遥かに少なく活発ではありませんでした。それでもペストは大陸中に広がりました。スペイン風邪と呼ばれた1918年の新型インフルエンザは数ヶ月で世界中に拡大しました。
つまり、まだ新型コロナ感染者が一人もいない島国に住んでいて、物流も含めて完全に鎖国しない限りはウイルスの侵入を防げません。
さて、ハラリ氏の寄稿を続けます。
この歴史は、現在の新型コロナウイルス感染症について、何を教えてくれるのだろうか?
第一に、国境の恒久的な閉鎖によって自分を守るのは不可能であることを、歴史は示している。グローバル化時代のはるか以前の中世においてさえ、感染症は急速に広まったことを思い出してほしい。だから、たとえ国際的なつながりを1348年のイングランドの水準まで減らしたとしてもなお、不十分だろう。隔離によって本当に自分を守りたければ、中世にさかのぼってもうまくいかない。完全に石器時代まで戻る必要がある。だが、そんなことが可能だろうか?
台湾は初期の流入を上手くコントロール出来たので今は感染を抑え込めています。初期対応の成功例と言えますが、問題は台湾はいつまで鎖国状態を続けられるのか?ということです。鎖国を解けば感染爆発が起きます。鎖国を続ければ経済的に困窮します。やはり、水際対策をしても問題を先送りするだけで防ぐことは出来ません。
仕事やスーパーに行くのは良くて、週末や連休の外出だけを自粛して何か意味があると本当に思うのでしょうか?
新型コロナの感染力は異常に高い
通常のウイルスは、人間の細胞表面の受容体と結合して細胞内に進入します。だからこの受容体に先に取り付いてしまう薬を飲んでおいたりすれば、感染予防になるという考え方があり、それには一定の信憑性があります。イメージとしては以下のような感じですね。
新型コロナウイルス感染初期のウイルス侵入過程を阻止、効率的感染阻害の可能性がある薬剤を同定より
しかし、これは我々をぬか喜びさせるだけで、実際の新型コロナウイルスの感染力はそんなに甘くありませんでした。
英語が読めない方の為に冒頭部だけ和訳してみます。
ウイルス医学、ゲノム、生物学分野の国際的専門家たちの主要な共同研究により、SARS-Cov-2 新型コロナウイルスは、すでに見出されていた ACE-2 受容体を含む 4つの結合方法だけではなく、 332 のヒトタンパク質を標的とすることができることが判明した。
前述の図ではACE-2受容体からの侵入パターンが描かれていましたが、普通のウイルスは1~2種類の結合経路しか持っていません。新型コロナは割と初期の段階から「4つの結合方法があるから感染力が高い」と言われていたわけですが、ちゃんと調べたら332パターンもあってお手上げだったというお話です。
332種類もの感染経路を持つウイルスを、自粛とマスクと手洗い程度で本当に防ぎ切れるとお考えでしょうか?
この手の情報をマスコミが流す事はまずありません。自粛もロックダウンも無駄であり、政府には感染予防の為の手段が何も無い事がわかってしまうと、権力層への支持が薄れてしまいますし、かと言ってやっても無駄だからと何の対策もしないと老人や基礎疾患がある人を中心に人がバタバタ死にます。
後述しますが、ロックダウンしてもしなくても、この死亡者数はおそらく変わりません。しかし、何の対応もせずに自分の近しい家族が亡くなったら、国民は政府の対応を責めるでしょう。何か出来たハズだと。だから多くの国の政府が緊急事態宣言だのロックダウンだのと言って国民の自由を奪い、かつ「感染したのは自粛やロックダウンを守らない奴らがいたせいだ」と思わせて、国民の怒りの矛先を同じ国民に向けさせるのです。
既に皆さんの周囲でも「東京の人には来てほしくない」とか「こんな時にパチンコ屋に行くなんて不謹慎だ」というようなロジックで他の国民に怒りを向けている人がいるのではないでしょうか?
あるいはアベノマスクに代表されるような政府の無策さを批判している方もいらっしゃるとは思いますが、それってつまり「もっとちゃんと対策をしていたら感染が抑えられていたはずだ」という思い込みから「もっと国民の自由を規制すべきだ」という主張になってしまってはいないでしょうか?
違うのです。このウイルスは一旦国内である程度の感染が広がったら、自然に終息するまでは防げないのです。スーパーで食材を買ってきただけの自粛者と、パチンコ屋で遊んできた人の感染率に有意差はおそらく出ないのです。
ロックダウンしてもしなくても変わらない
ここまで言われても人間はすぐには考え方を変えられません。正常性バイアスと呼ばれる「自分は間違っていないハズだ」という根拠のない思い込みがありますから、ここまで必死でマスクをして手洗いをして、手指をアルコール消毒してきた人々にとっては、「それでも気を付けていれば感染リスクは減らせるハズだ」と思いたくなってしまいます。
もちろん、無視できるくらい小さな差異ならあるでしょう。丸一日全く外出しなかったパターンと、コロナ陽性者の病棟で1日働くのでは多少の差は出るでしょう。でも、何ヶ月も一切外出も通販での購入もせずに暮らすのは不可能ですし、外出しなければ感染しないなら刑務所内では感染者ゼロになるハズですが、アメリカでも中国でも刑務所で集団感染が確認され、日本もちゃんと調べていないだけで北海道の刑務官が陽性との報道もありました。
さて、世界中が集団ヒステリー状態でロックダウンだの外出自粛をしている中で、先進国では唯一スウェーデンだけがほとんど何の対策も取っていません。50名以上の集会を禁じたくらいで、学校も会社もカフェも通常営業でやっています。
そんなノーガード戦法のスウェーデンと、首相まで感染してロックダウンしまくっているイギリスの「人口100万人あたりの新規感染者数」のグラフが以下のものになります。
新型コロナウイルスへの「ロックダウンという愚行」のほどを、強固な封鎖を貫徹する英国と、ほとんど何もしないスウェーデンの数字の比較から見てみるより
全く変わらないですね。ちなみにロックダウンをしてしまうと経済苦やストレスで他の疾患や自殺も増えるようで、「人口100万人あたりの新規死者数(コロナ以外も含む)」の比較は以下の通りになるようです。
詳しくはリンク先の記事をよく読んでいただければと思いますが、ロックダウンや外出自粛政策は、新型コロナの防疫としては全く効果が無く、他の死因が増えてしまう分だけ有害であるとしか言えません。
最初にハラリ氏も言っていたように「隔離によって本当に自分を守りたければ、中世にさかのぼってもうまくいかない。完全に石器時代まで戻る必要がある。だが、そんなことが可能だろうか?」というお話なのです。
「じゃあどうしろって言うんだ!?」という皆さんの心の叫びが聞こえてきそうですが、クリーンルームか無人島で自給自足する覚悟が無いなら、国民側はいつも通り行動して経済を回した方がマシなのです。
現時点では有効な治療法も見つかっていませんが(アビガンは不妊化リスクがあるので若年層には使うべきではないと私は思います)人工呼吸器にアクセス出来ずに死んでしまう重症者を出さない為に、急いで人工呼吸器と重症者の受け入れ病院を整備すべきです。人工呼吸器さて、安倍政権がそんな合理的な判断をしたことって今までに一度でもありましたっけ?
まとめ
- 自粛で効果を出したいなら石器時代レベルまで戻すしかない(無理)
- 新型コロナの感染力は異常に高くて防げない(332種)
- ロックダウンした国の方が死者が増える(逆効果)
だからと言って、この時期にマスクなしで平然と行楽に行けるメンタルを一家全員が持っている御家庭は少ないと思います。だから多少の自粛はせざるを得ないのかもしれません。
それでも「そもそもこのウイルスは防御しきれない」という事実を知った上で、バカバカしいと思いながら程々に自粛してるフリをするくらいで良いのです。
メンタルまで病んでしまったらそちらの方がよくありませんし、新型コロナ以外にも怖い病気もありますし、不運な事故で死ぬ事もあります。残念ながら新型コロナが登場してしまった現在は、去年までよりも少しだけ致死率が上がってしまった社会なのですが、それでも戦時中や戦後直後よりは遥かにマシでしょうし、県外ナンバーを見かけたくらいで意味のないストレスを感じる生活を続けるメリットがどこにもありません。
あらゆる感染症がそうであったように、この新型コロナもいずれ終息します。最短の予想では感染爆発から70日程度、長めの予想でも2年もすれば弱毒化してくれる可能性が高いです。
誤った思い込みで自分を縛らないで下さい。「今できること」とは、必要以上の自粛をして苦しむ事ではなく「コロナ以外の死因で死なないように気を付ける」ことです。