「交差点手前30m以内は車線変更禁止」という勘違い

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以前「7年ぶりに警察に止められた話」という体験談を投稿し動画もアップしてあるのですが、たまにですが「どう見ても違反だ」「止められて当然」というコメントが来る事があります。

その都度反論するのも面倒ですので、私の運転が「違反ではない」という事を説明しておこうと思います。元記事は以下のものです。

7年ぶりに警察に止められた話。左に寄っていたら切符を切られたのか?
最初に書いておきますが、今回の制止については私は違反をしていませんし、警察側も切符を切る気があったか微妙なところです。なので、切符回避の事例としてではなく、...
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「車線変更」という単語は道交法には出てこない

道路交通法に「車線変更」という単語は出てきません。出てくるのは「進路変更」で、道交法第26条で「車線変更の禁止」が規定されています。

道路交通法第26条

第二六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
3 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
一 第四十条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
二 第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。

私が左折待ちの車を避ける為に跨いだのは黄色実線の車両通行帯境界線です。中央線ではないので「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」は適用されず、単に「進路変更禁止」区間です。

第26条にあるように、この場所は「道路標示をこえて進路を変更してはならない場所」ですね。

で、法にある通り、「道路標示で禁じられていなければ、他車を妨害しない限り進路変更は可能」なのです。

道路標示を越えるとは四輪とも越える事

黄色実線を越えて進路変更するというのはどういう状態でしょうか?多くの方が「タイヤが一つでもはみ出したら違反」と勘違いしていますが、この「道路標示を越える」とはどの状態なのか?については法令では規定されていません。

で、意外でしょうし納得いかないかもしれませんが、現場で警官が言った通り「四輪とも越えてはいないので車線変更(道路標示を越えての進路変更)ではない」のです。

私が以前行政訴訟を起こした時は、バイクに乗っている時にこの「黄色線を跨いで車線変更をしたかどうか」についても争いがあったのですが、「車体の一部でも越えていれば違反」と主張する警察に対して、裁判長はその主張は認めずに「二輪とも(バイクなんで)越えたと認められるから違反」という認定をしました。裁判自体は負けたのですが、車体の一部やタイヤが1つ2つはみ出しただけでは、「はみ出して走行」しただけで「道路標示を越えての進路変更」には当たらないというのが通常の解釈のようです。

感覚的には納得がいきませんよね?でもちょっと考えてみて下さい。ダンプなどの特定大型車両なんかは、バイクや自転車を追い抜くだけでも片輪くらいは車線からはみ出てしまいますし、そもそも通行区分が狭い路線だとダンプなんかは最初からタイヤが車線内に収まっていません。タイヤが一本でも出たら違反だと考えている方は、ダンプは常に違法状態で走行していると思われるのでしょうか?

交差点手前30m以内は「追い越し禁止」です

タイトルにもしましたが、「交差点手前30m以内は車線変更禁止」というのは勘違いです。道交法では「追越しを禁止する場所」として第30条が規定されています。

道路交通法第30条

第三〇条 車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
一 道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近又は勾配の急な下り坂
二 トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)
三 交差点(当該車両が第三十六条第二項に規定する優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く。)、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に三十メートル以内の部分

進路変更の禁止は第26条、追越しを禁止する場所は第30条しか規定がありません。交差点及びその手前30mでは、追越しが禁じられており、黄色線だったら車線を跨いで進路変更をしてはいけないということです。

で、追い越しというのは「車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ること」と道交法第2条21号で定義されているのですが、この「他の車両」には停車中の車両は含まれません。

  • 路駐している車が邪魔で通れないので車線を跨いで前に出ても「追い越し」にも「追い抜き」にもあたりません。
  • 客の乗降の為に停車しているバスやタクシーを車線変更して抜いても「追い越し」にはあたりません。
  • 左折待ちの為に停車している車両を避けて前に出る為に車線を跨いで前に出ても「追い越し」にも「追い抜き」にもあたりません。

「その他の障害」があったら進路変更してもOK

前項までの時点で、私の運転は違反ではありません。四輪とも跨いではいないので「道路標示をこえての進路変更」はしていませんし、左折車は停車中なので追い越しもしていません。

それでも「やっぱり進路変更違反だと思う!」と言うのは、感情的思考であって論理的思考ではないと思うのですが、百歩譲って道路標示をこえての進路変更があったとしても、除外規定に以下の記述があります。

道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。

直進したい私にとって、左折待ちで停車している車両は障害であり、「その車両通行帯を通行すること」が出来ません。そういう時は道路標示をこえて進路変更してもOKということになっています。

繰り返しになりますが、この除外規定がなくても違反はなかったと考えていますが、「何がその他の障害にあたるか?」なんて話になったら解釈や主観の問題になってしまいますので結論は出ませんね。直進したいんですよ?左折待ちの車がいて前に進めないんですよ?障害でしょ?

後続車両もいなかったので「後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれ」もありませんでした。第26条にも第30条にも違反していませんね。

教習所でなんとなく「交差点手前30m以内は車線変更も追越しも禁止!」と覚えてしまった方が多いと思いますが、原典(法令)を読んでみるとそうでもなかったりするのですから、ちゃんと調べる事が必要ですね。

まとめ

  • 「車線変更」という単語は道交法には出てこない
  • 道路標示を越えるとは四輪とも越える事
  • 交差点手前30m以内は「追い越し禁止」
  • 停車中の車両の横を通過する行為を追い越しとは呼ばない
  • 「その他の障害」があったら進路変更してもOK

これでもまだ「止められて当然」とかいうコメントが来るんですかね?条文すら理解せずに物事を断定してしまう人々に比べたら、止めてはみたけど引き際が潔かった現場警官の方がまだ知性が高いと思えてしまいますね…

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コメント

  1. けいし302 より:

    大型自動車が通行帯が狭いために黄色線をはみ出してしまうことをもって4輪はみだしてもよいとはならないと思います。
    (進路変更の禁止)
    二六条の二
    3 (略)道路標示をこえて進路を変更してはならない。

    狭くてはみ出しててもあくまで「進路変更」してなければ条文に抵触しません。

    はみ出し追越禁止の(通行区分)
    十七条5項
    四(道路標識により追い越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されてている場合は除く)

    とあって、あくまで追い越しのためにはみだすことを禁止したもので、左側が狭いために大型自動車がはみだすことにはふれていません。

    一説によると、反対方向からの車両との危険を感ずる程度のはみ出しで、車体の大部分(半分以上)ならば疑問なく違反が成立すると考えられるとあります。

    • 取締り110番 より:

      >大型自動車が通行帯が狭いために黄色線をはみ出してしまうことをもって4輪はみだしてもよいとはならないと思います。

      記事内には以下のように記載しました。

      ダンプなどの特定大型車両なんかは、バイクや自転車を追い抜くだけでも片輪くらいは車線からはみ出てしまいますし、そもそも通行区分が狭い路線だとダンプなんかは最初からタイヤが車線内に収まっていません。タイヤが一本でも出たら違反だと考えている方は、ダンプは常に違法状態で走行していると思われるのでしょうか?

      ダンプなど車幅の広い車は、時に車線が狭い為にタイヤが2本くらいはみ出して走る事があります。私はこれを違反だとは思いません。この部分の趣旨は「左が狭かったり、障害物や駐車車両を避ける為に黄色線から片輪が出た状態で走行しても違反ではないでしょう?タイヤが一本でも黄色線を跨いだら違反だと考えている人は、ダンプも常に違反だと思うのですか?」という事です。

      なお、左折待ちの車を避けた時に私の車は片側の2輪のみ黄色線をこえましたが、4輪ともは越えていません。障害物を避けるためであれば4輪とも越えても「中央線を越えてはみ出したのでなければ」違反ではないと思いますが、ダンプの例示が悪かったですかね?

      >一説によると、反対方向からの車両との危険を感ずる程度のはみ出しで、車体の大部分(半分以上)ならば疑問なく違反が成立すると考えられるとあります。

      「走行中の車両を追い抜く場合には」そうですね。道路工事・停車中のバス・タクシー・路駐している車両などを避ける行為は「追い越し」には当たりませんので、それらを避けるためなら車体の全部が反対車線に出ても違反は成立しません。

  2. とし より:

    お疲れ様です、事前に知ることが大きな武器になりますね、しかし、動画の通り違反のない行為でも停車させられるので、停車中の車両がある場合ややむを得ない事情がない限り、横を通過することは控えたほうがいいですかね、なんせ警殺官とは関わらないことが一番ですから。

    • 取締り110番 より:

      私もヤク○○力団でしかない警察とはあまり関わりたくないですから、ネズミ捕りポイントではきっちり速度を絞りますし、一時停止はかなり厳密に守ってます。ですが、違反でない行為まで自主規制する気は起きないですね。教習車みたいな運転はしたくないですしね…

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