モータリゼーションが絶賛衰退中のニホンですが、厳しすぎる速度規制やバイクを狙い撃ちにした交通違反の取締りばかりする一方で、暴走族などは野放しにして「バイク=危険」「バイク=悪」というイメージを自ら推進しておきながら、今度は「バイクが売れないから免許を簡単にします♪」とか言い出しています…
私は元バイク乗りなので、やはり一言言いたくなってしまいますねw
経産省自動車課長「免許取得をより簡単に」—規制緩和に言及
経済産業省の川野大志自動車課長は、神戸市で開催された「BIKE LOVE FORUM」(バイク・ラブ・フォーラム=BLF)の中で、改めて市場活性化する規制緩和として、免許取得について触れた。
「我々ももう少し行政の立場で知恵を絞りたいと思っていて、そう簡単ではないのかもしれないが、排気量125ccの免許取得を今までより簡単にするというような取り組みにチャレンジしてみた」と、述べた。
どうも売りたいのは原付2種のようですが、「よりカンタンにする」と言った舌の根も乾かぬうちに矛盾した事を言い出すのが官僚答弁、霞ヶ関文学というヤツのようです。
また、高橋一幸課長補佐がBLFの取り組みを説明。その中でバイク駐車場整備、高速道路料金の独立した適正料金化の要望、さらに、免許取得についても、運転技術のレベルを落とさず免許取得を容易化する警察庁への提案を上げた。
「運転技術のレベルを落とさずに免許取得を容易化する」ってなんでしょう?技能試験のレベルを落とさないのであれば、「今までは運転技術とは無関係な部分で免許取得を面倒臭くしていた」と認めるようなものですが、それでいいのでしょうか?
バイクは売れていない
バイク(自動二輪車)の売り上げは落ちる一方です。
1990年代に16~19歳だった第二次ベビーブーマー達が、子育てが一段落して再びバイクに乗り始めているとして、これらの「リターンライダー」を狙った商品開発などもしているようですが、そもそも126cc以上の軽二輪や251cc以上の自動二輪車はそんなに売れていません。
時代を問わず、普通自動車運転免許でも乗れる原付1種(50cc未満)が売上の中心で、その上の原付2種のシェアが少しずつ増えているかな?という感じです。
私も今から買うなら原付2種をお勧めしますがw
で、誰がどう考えてもバイクが売れなくなった原因は「免許の取得が難しいから」ではないでしょう。理由はいつも複合的で一つではありませんが、最大の理由は「危険だから」2番目の理由が「車の方が快適だから」あたりではないかと思います。
免許はむしろ厳しくした方がいい
ニホンの運転免許システムは、カネさえ払えば誰でも取れて、一度取ってしまえば致命的に視力が落ちない限りは保持し続けられるいい加減なものです。
筆記試験も取得時しか必要なく、道交法について全てをちゃんと理解している人など滅多にいないでしょう。まあ、理解してしまうと「こんなの守れるワケないじゃん!」という結論しか出ませんが…
運転とは技術です。技術は訓練を積めば誰でもスキルアップしますが、使わなければ落ちてしまうものですし、才能が無ければいくら努力しても無理なレベルもあります。私の技術ではMoto-GPのバイクなんかではサーキットを一周も出来ないでしょうし、F-1やGT選手権の車なんかもスピンさせずに走るのは無理な気がします。
確かに原付くらいなら自転車レベルの運転技術で乗れますが、原付2種になると車種によっては100km/h近く出せますし、昔私が乗っていた1000ccクラスのリッターバイクと呼ばれるものなんかは、それなりの運動神経や反射神経がなければ扱い切れないと思います。というか、走り屋をやっていた私だって、CBR954RRという当時乗っていたバイクを扱い切れていたとは到底思えません。
私は中型自動二輪も大型自動二輪も免許試験場で受験して取得しましたが、無意味としか思えない法規走行はともかく、急制動を含めた技能走行の方は本当に必要な技術が多いと思いました。
二輪免許と言えば一本橋の試験が有名ですが、渋滞車両の左側や中央を抜けて行く時には、あのバランス感覚やコントロール技術がないと本当に苦労します。
車でもそうですが、事故を起こす者の多くは「運転技術が未熟な者」もしくは「運転に集中せずに漫然と運転している者」です。
そういう観点から言えば、運転はあまり楽過ぎてはいけないと思います。ぶつかれば他人を殺したり(主に四輪)、自分が死んでしまったり(主に2輪)する危険な鉄の塊に乗るのですから、運転者にはそれなりに高い運転技術や集中力が求められます。
だからこその免許制度であるハズで、信号が青になった事も気付かないような高齢者や、集中力が30分も持たずにすぐ居眠りをしてしまうような者にまで免許を与えてはいけません。AT限定免許なんて愚の骨頂だと思います。
MT免許を取ってMT車を一定期間運転した事がある者なら、誰でもAT車の楽さがわかります。単純にAT車の運転はMT車よりも遥かに簡単なのです。で、AT限定免許ならギリギリ取得出来る技術レベルの者が路上に溢れた結果が、今の惨状です。
運転は楽しくないから出来るだけ自動化して欲しい。公共の場であるはずの公道上にも自分の部屋を持ち出して好きな音楽をガンガン聞きたい。子どもと嫁の奴隷に成り下がってタダ働きの運転手で構わない…
そりゃニホンのモータリゼーションが衰退して、「風を感じながら走る喜び」が一番の魅力であるバイクが売れなくなるのは当然の帰結です。
ニホンジンは、謙虚で勤勉でマナーが良い国民だなんて吹聴されていますが、交通マナーの悪さは折り紙つきだと思います。海外で運転した経験は北米を中心に数カ国しかない私ですが、制限速度が妥当(国道的な場所はどこも50mphまたは80km/h規制)なので流れに乗っているだけでストレスなく走れますし、大型トラックや特殊車両のように速度が遅い車はちゃんと右車線(イギリス以外は右側通行です)をキープしてくれるので追い越しも容易でした。
ニホンは国土が狭いとか道路事情がとか言い出す輩が多いですが、郊外なら欧米諸国と遜色ない国道も多いですし、首都高湾岸線なんて見通しの良い直線ばかりで、ドイツにあったら最悪でも150km/h制限くらいで十分です。
厳しすぎる規制と、運の悪い者だけが検挙されるようなシステムにしているから、実勢速度に合わせて円滑に運転したいドライバーと「俺は制限速度を守っているんだから文句無いだろ」みたいな自分本位のドライバーが混在し、挙句の果てには反射神経が衰えた者にまで無制限に免許を与えるからこんな事になるのです。
まずはAT限定免許を廃止し、あんな無意味な更新講習を受けさせるくらいなら、更新時には急制動と緊急回避だけでも技能試験を課した方が良いでしょう。免許証所持人口は激減するかもしれませんが、その方が渋滞が緩和され、公共交通機関(バス・電車)などの利用者が増えれば地方でも採算が取れるとして公共インフラ投資が復活し、運転を楽しみたい者がバイクを買っても気持ちよく走れる社会になるでしょう。
車メーカーが儲からない?知ったこっちゃありません。トヨタがどれだけ儲かっても、様々な税制優遇措置を使って法人税なんてほとんど払わないのですから、国内工場の従業員程度の雇用創出なんかでは国民側のメリットがほとんどありません。
経産省がバイクメーカーに配慮して「売上増の為に免許基準を緩和」ですか?原発を推進してきた経産省のロジックは、「経済の為なら人命はどうでもいい」なんですかね?
バイクは楽しいですが、間違いなく危険ですし、一歩間違えれば本当に簡単に死にます。あれはそういう乗り物なのです。
私も子どもが独り立ちして養育費の心配がなくなったらまたバイクに乗りたいと考えていますが、その時は不運な事故に遭えば死んでしまうこともあるという覚悟で乗るつもりです。今の公道は周囲の交通状況を見ていないドライバーが多すぎて非常に走りにくいです。
コメント
免許取得を難しくするのは概ね同意ですが、厳しくなることで取得費用が高くなる懸念がありますね。
免許とるのに30万以上ってどう考えても異常事態なのですし、一発免許を取得できる場所も人によっては遠すぎます。
免許取得の1番最初の入り口で、運転技術とは関係ないハードルが高すぎるのはどうにかして頂きたい所ですね。