[検察統計]地検と区検の不起訴率2015[赤切符・青切符]

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2015年の検察統計年表が出ていましたので、データを整理して「赤切符や青切符を否認した場合の不起訴率」を計算してみました。

青切符の不起訴率は99.9%以上というのは明らかですから、赤切符を否認する場合の不起訴率を予想する際には有用かと思います。

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検察統計2015の元データと編集データ

検察統計年表2015の元データは以下のリンクから誰でもDL出来ます。

http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001157683

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表番号15-00-10の「検察庁別 道路交通法等違反被疑事件の受理,既済及び未済の人員」というのが、道交法違反で送検された人の処理結果をまとめたデータです。

右のExcelというマークをクリックするとDL出来ますが、元データはかなり細かい数字まで載っていて初めて見た方はよくわからないと思いますので、不起訴率算出に不要なデータを排除して私がまとめ直した資料が以下のものになります。

表の見方

検察統計を見やすくするために地検や区検の支部データを削除し、右端に地検の不起訴率は赤字、区検の不起訴率は青字で表示させました。以下の画像で読み方を説明します。

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「否認した人の不起訴率」を算出する為に必要なのは以下の2つの項目です。

  • 公判請求:いわゆる「起訴」否認・是認に関わらず検察が正式裁判が必要だとして起訴した数
  • 不起訴の計:不起訴は起訴猶予・嫌疑不十分・嫌疑なしの3種類に分かれますが、いずれにせよ不起訴ならば罰金刑を受ける必要はなくなります

注意したいのは「略式命令請求」という項目です。これは主に赤切符を切られた人が区検に出頭した時に「違反を素直に認めて罰金刑を受ける事に異議がないのであれば、略式命令を受ける事に同意すれば法廷に出廷しないで待合室で待っているだけで罰金刑を出してもらえますよ」という、流れ作業で罰金刑を量産するためのシステムです。

これを受けられるのは「違反を認めて略式命令が出される事を希望した人だけ」ですから、否認した場合の不起訴率の計算には入りません。区検の略式命令のほとんどは速度超過や軽度の飲酒運転で赤切符を切られた人で、残りの少数は「青切符で反則金を納めずにいたために区検に呼ばれてそこで認めて略式を受ける事にした人」です。

警察が欲しいのは反則金であって罰金ではありませんから、最近は区検に出頭しても検察官には会えずに、警察官取調室で違反を認めると当日限り有効の反則金納付書を渡されるパターンも多いようです。とにかく自分達に還流可能なカネが欲しい。それが警察です。

上の画像で右端で囲っているのが、「日本全国の地検全体の不起訴率」と「日本全国の区検全体の不起訴率」です。地検では主に赤切符の否認事件を、区検では青切符の否認事件を扱いますので、全国平均では以下のような不起訴率になります。

  • 地検全体の不起訴率:53.9%(赤切符を否認した場合の不起訴率)
  • 区検全体の不起訴率:99.9%(青切符を否認した場合の不起訴率)

不起訴率の算出法

否認した場合の不起訴率の算出は以下の数値を用いて計算しました。

不起訴率=100×(不起訴数)/(公判請求数+不起訴数)

これで否認した場合の不起訴率が%表示で出ますね。

繰り返しになりますが、略式命令請求は「違反を認めた人」の数ですから否認事件の不起訴率の計算でこれを用いるのは誤りです。

不起訴率の地域差

表をダウンロードして眺めていただければわかりますが、区検での青切符の不起訴率は全国どこでも99.4%~100%で地域差がほとんどありません。

しかも、区検の公判請求には赤切符の事件も含みますので、実際には青切符の起訴事例は探すほうが大変なくらいです。

しかし、赤切符の不起訴率に関しては明確な地域差があります。日本では「何をしたか?」よりも「どこでしたか?」によって刑罰が変わってしまうようなもので、「法の下の平等」なんてフレーズはただの幻想でしかない事がわかります。

都道府県別の赤切符の不起訴率

都道府県別の不起訴率を高い順にまとめたのが以下の表です。北海道は広いために地検が4つありますので、計50の地検が記載されています。

順位都道府県不起訴率
1東京84
2富山81.7
3広島77.6
4宮崎66.1
5静岡64.2
6岐阜63.5
7福井63
8埼玉61.8
9京都61.5
10千葉60.8
11鹿児島57.9
12三重56
13長崎55.1
14熊本54.5
15金沢54.3
16愛知51.4
17山口50.3
18鳥取50
19大阪49.8
20滋賀45
21山形44.2
22函館44.1
23島根42.9
24茨城42.4
25福島42
26福岡41
27宮城40.6
28兵庫40.5
29札幌39.8
30佐賀39.5
31神奈川38.6
32岡山37.2
33青森37.2
34香川35.6
35群馬33.2
36大分33
37長野31.5
38釧路27.5
39栃木27.4
40秋田25.9
41愛媛25.6
42沖縄24.8
43奈良22.6
44岩手22.2
45旭川21.6
46山梨19.4
47高知19.3
48徳島18.3
49和歌山14.2
50新潟10.9

このデータもダウンロードファイルに入っています。(3枚目のシート)

不起訴率トップの東京都は、不起訴率が84%もあります。東京では一発免停レベルの大幅な速度超過などで検挙されても、否認を貫いて略式命令を希望しなければ、100人中84人が不起訴になって罰金を支払わずに済むということです。

一方で、不起訴率最下位は新潟県で、不起訴率が10.9%しかありません。新潟では、否認しても100人中11人程度しか不起訴がもらえず、残りの89人は公判請求されてしまうというわけです。

地域差を生むものは何か?

何故、どこの地検管轄であるかによってこれほどまでに不起訴率が変わるのでしょうか?

東京の赤切符は起訴するほどではない軽微なものばかりで(そもそも軽微なら赤切符ではないでしょう…)新潟の違反は悪質なのでしょうか?(隣りの富山県は不起訴率81.7%で全国2位ですが…)

検察統計を調べ始めた当初は、他の刑法犯罪数等との関係で、忙しい地検ほど不起訴率が高く、平和な地方で暇な検察は起訴率が高いのではないかとも考えたのですが、どうもそれだけでは説明がつかない部分が多いようです。

確かに東京・埼玉・千葉などの不起訴率が高いのは、他の刑法犯罪も多そうで検察・裁判所共に忙しそうですが、それを言うなら神奈川も刑法犯罪が多くて忙しそうです。なのに、神奈川は不起訴率が38.6%しかなく全国31位です。

逆に不起訴率2位の富山県は、持ち家率も全国トップかなんかで、県民幸福度が常に上位に来る平和な県だったはずです。富山が犯罪者だらけで検察・裁判所が忙しいとはとても思えません。

起訴するかどうかは検察官(副検事含む)の一存で決められます。これを起訴便宜主義と呼びます。そうは言っても上司の決裁が必要でしょうから、実際にはその地検のトップがどういう人間かで道交法違反に対する検察の対応が大きく変わりそうです。

地検のトップは地検検事正ですが、法曹界人事を見ると検事正は割とコロコロ変わっている印象があります。しかし、高知や和歌山の不起訴率が低いのは前からのことですし、不起訴率上位の顔ぶれも数年前と比較しても大差はありません。

この「地検ごとの傾向」は誰がどのように決めているのでしょうか?それまでの慣例が優先されて、道交法違反を積極的に起訴する地検と軒並み不起訴にしてしまう地検が決まっているのでしょうか?

このあたりの謎はまだまだ解けません…

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