都内や大都市にはよくあるパーキング・メーターの「手数料」は支払う必要があるのでしょうか?
当然支払うものだと皆さん考えているでしょうが、その法的根拠は本当に存在するのでしょうか?
私は「気になったら調べてみる」タイプなので、パーキング・メーターについて色々と調べてみました。以下は関連記事です。
根拠になりそうな法令
私が調べた限りでは、パーキング・メーターに関する法令は、道路交通法第49条の3-4と道路交通法施行令第14条の7しか見つかりませんでした。前記事でも提示しましたがおさらいです。
道路交通法49条の3-4
4 車両の運転者は、時間制限駐車区間において車両を駐車したときは、政令で定めるところにより、第四十九条第一項のパーキング・メーターを直ちに作動させ、又は同項のパーキング・チケット発給設備によりパーキング・チケットの発給を直ちに受けて、これを当該車両が駐車している間(当該パーキング・チケットの発給を受けた時から道路標識等により表示されている時間を経過する時までの間に限る。)、当該車両の前面の見やすい箇所に掲示しなければならない。
道路交通法施行令第14条の7
法第四十九条の三第四項 の規定により車両の運転者がパーキング・メーターを作動させるときは、当該パーキング・メーターに表示されている方法によりこれを作動させなければならない。
以下に内容をまとめてみます。
- 道交法には「停めたらすぐにパーキング・メーターを作動させろ」としか書いていません
- 施行令には「パーキング・メーターに表示されている方法によって作動させろ」としか書いていません
で、パーキング・メーターを見てみるとこんな感じです。
とりあえず気が付くのが、どこにも「作動させる方法」が書いてありません。どうやって作動させればいいのでしょうか?
例えば「3.駐車方法」に書いてある「白線表示枠内の中央部分に駐車してください」というのは、メーターが車両を感知しないと時間計測が作動しませんから、ちゃんと真ん中あたりに停めろという事だと思います。
しかし、別に真ん中に停めずに、前寄りや後寄りに停めても、車両が白線からはみ出さず、メーターがちゃんと車両を感知して計測を始めていれば違反にはならないでしょうし、検挙された例も知りません。軽自動車なんかは車両サイズに余裕がありますから、左寄りに停めて右側に余裕を持たせている事が多いですが、あれが違反になるワケがありませんね。
では、手数料のところに書いてある「車をとめたらすぐに手数料を入れてください」というのは何でしょうか?
手数料を入れないとメーターが作動しないのでしょうか?そもそも「ください」というのはお願いであって、それをしなければ違法になるという解釈は普通出てこないと思うのですが?
「東京都公安委員会」の下に線が引かれていて、その下に「手数料を入れないと駐車違反になります」と書いてあるのが気になります。これは公安委員会が言っている話でしょうか?それとも、メーター製造メーカーが勝手に書いた根拠のない文章でしょうか?
おそらく公安委員会の責任による文書は線の上だけです。何故なら、他のパーキング・メーターではこんな表示もあるからです。
南千住のパーキング・メーターの線の下には「「0分」を確認してから駐車してください」とありますが、神田のメーターにはありません。もし、ここの部分も法令などで定められた文書なのだとするとおかしな事になります。
何故なら、表示されている方法で作動というのを文言通りに守ろうとしたら、神田では0分表示を確認しないで停めてもOKだが、南千住では0分表示を確認しなかったら(たとえ0分になっていたとしても)駐車違反になるとでも言うのでしょうか?
他府県ならともかく、同じ警視庁管内でルールが違うワケがありません。やはり線より下の数行には法的根拠がなさそうです。
情報公開センターにて
私は開示請求書を用意して、警視庁情報公開センターに赴きました。本当は郵送で済ませたかったのですが、警視庁は郵送では受け付けないという殿様商売ぶりを発揮しています。しかも受付は平日の日中のみ。完全に庶民をバカにしていますね。フルタイムで働いている人は、開示請求をするためだけに有給などを取らなければならないみたいです。
私としてはさっさと提出して帰りたかったのですが、窓口担当の警官が「どの文書か調べたいので」とか言って引き留めてきます。これは10年位前に開示請求に通っていた時も同じでした。何とかして窓口段階で諦めさせたいんですかね?
私が提出した開示請求は
「パーキング・メーターに書かれている「手数料を入れないと駐車違反となります」という説明の法的根拠がわかる文書(道路交通法と同施行令は除く)」
というものでした。カッコ内の文言は書かずに持って行ったのですが、どうもそのまま開示請求しても「道交法と同施行令に書いてあるじゃん?」みたいな回答しか出ないっぽいという事を窓口の警官に言われたので書き足したものです。
早く帰りたい私の気も知らずに?窓口の警官がああでもないこうでもないと言って私を困らせます。結局1時間以上引き留められたのですが、その中に面白い?やり取りがありました。
感知してるが作動してない?
話が施行令に書いてある「メーターに表示されている方法で作動」というあたりに来た時のやり取りです。再現してみましょう。
この後の「頭は大丈夫ですか?」の言葉は呑み込みました(笑)
残念ながら、大丈夫ではない人のようでした…
さて、皆さんはどんな感想を持たれたでしょうか?私ですか?「話が通じない奴と話すのは疲れる」という事を再確認しました(笑)
非開示決定通知書が来た
窓口の警官といくら議論しても意味はないので、「もう帰りたい」と言って帰りました。久しぶりに警察と長時間応対して本当に疲れましたね。手数料を入れないと、メーターは時間を計測しているけど作動はしてないなんて意味不明の回答が来るとは思いもしなかったので本当に疲れました。
で、2週間くらいしたら警察からの通知書が届きました。これです。
一部黒塗りにしていますけど、こんな請求したのは私だけでしょうから警察には誰かバレバレでしょうね。でも気にしません。だって、警察がその気になれば、サーバー管理会社に私の個人情報を開示させて私を特定する事など朝飯前ですからね。気にしても仕方のない事は気にしない主義です。
で、肝心の回答は「非開示」で、その理由ですが
「当該開示請求に係る公文書は、保有しておらず、存在しません」
だそうです。
それってつまり「感知してるけど作動はしてない」というレベルの曲解をしない限りは「法的根拠がない」と答えているのと同じだと思うんですけど?
上の私と警官とのやり取りを見ても、警察の主張が正しくて私の言っている事がおかしいと思う方は、これからも「手数料」を納めてパーキング・メーターを利用していただいて構いませんが、私はもう二度とパーキング・メーターに「手数料」を入れる事はないと思います。
ちなみに、「感知しているが作動していない」という名言を残した窓口職員が、決定書の郵送に関して電話して時に、とある条例について教えてくれたのですが、いい加減長くなり過ぎましたので、それはまた別記事で書いてみたいと思います。
まとめ
- 法律上は停めたらすぐにメーターを「作動」させれば違反にならない
- 道交法・施行令を熟読しても、手数料を納めないと駐車違反になるとする法的根拠がわからない
- 警視庁に開示請求してみたが「文書は存在しない」とのこと
まあ、解釈問題に論点をすり替えて「厳密には違反だ」とか言い出す輩もいるでしょうが、専門性が高く、経験者でないと実務が出来ないような証券取引法とか地方自治法とかならともかく、8000万人以上もの運転免許保有者がいるのに、よく読んでみても結局「手数料を入れないと制限時間内であっても違反になるのかどうか」がわからないような法令しかない時点でどうかしています。
今までに道交法などの改正(改悪ばかりですが)が度々なされていますが、手数料を入れないと駐車違反になると言うなら、誰が読んでも誤解の余地がない書き方で条文を作るなり改正すればいいのです。
それをしないと言う事は、やはり手数料を納めなくても道路交通法上の駐車禁止違反にはならないということでしょうね。
次の記事は

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