時速140kmで走っても安全性が確保されるように、わざわざ高額な建築費を費やしてようやく開通した新東名ですが、「事故が減ってしまうと交付金が減らされて天下り先が減ってしまう警察」の抵抗のせいで台無しです。
解決策はいくらでもあるのに、警察の規制のせいで見込んだ経済効果は得られず、運送業の人々にとっても無駄なリミッターのせいで長時間労働がいつまでも経っても解消されません。
静岡新聞の記事
筋伊知朗静岡県警本部長は25日の県議会9月定例会で、新東名高速道路の最高速度を時速110キロに試験的に引き上げることに伴う安全対策として、片側3車線区間の大部分で大型貨物車が通行できる車線を道路左端の第1通行帯に指定する交通規制を行うと明らかにした。江間治人氏(自民改革会議、磐田市)の代表質問に答えた。
試行区間は新静岡インターチェンジ(IC)―森掛川ICの50・5キロ。普通自動車や軽自動車などの最高速度を現行の時速100キロから引き上げる一方、大型トラックやトレーラーなどの最高速度は時速80キロのまま据え置く。車両同士の速度差が広がり、重大事故につながる懸念があることに対応する。トレーラーは既に高速道路で第1通行帯を通行するよう規制されている。
筋本部長はこのほかの安全対策に速度違反取り締まり装置の増設や車間距離を保っていない車両の取り締まり強化などを掲げ、「道路管理者などと緊密な連携を図り、交通事故抑止と道路利用者の利便性の双方に資する適正な速度管理を実施する」と述べた。
警察庁と静岡県警は最高速度を試験的に引き上げる時期を11月1日からとする方向で最終調整している。
大型車の速度制限は100km/hくらいが妥当
大型トラックやトレーラーなどの最高速度は時速80キロのまま据え置く
大型車やトレーラーなどは、この御時世に制限速度が80km/hに制限されており、ほとんどの車両に90km/hの速度リミッターが付けられています。
運送会社にしてみれば、ドライバーが免停を食らいまくると仕事に支障がありますし、管理責任を問われて営業停止などの行政処分を受けると会社が潰れてしまうため、仕方なくやっている規制です。
私は大型自動車の免許も持っているのでわかりますが、フル積載の大型車などは、頑張ったって100km/h以上は怖くて出せません。過積載なら90km/hでも恐怖心を感じるでしょう。
でも、配送が終わって空荷になったら話は違います。フル積載でも止まれるだけの強力なブレーキを搭載した大型車は、高速道で空荷なら120km/hくらいまでは問題ありませんし、百歩譲っても100km/h制限で良いでしょう。
高速道での最低速度規制は基本的に50km/hなのですから、フル積載でドライバーが危険だと判断したなら、左端の車線を80km/hくらいで走れば良いだけの話で、空荷で余裕のある状態のトラックまで80km/h規制にする意味がありません。
この規制のせいで付けられている90km/hリミッターが非常に厄介で、荷主は速度制限などお構いなしに納期を守らせようとしますから、皆さんもよく目撃した事があるように、80km/hで走る大型トラックを85km/hくらいしか出せない大型トラックが長い時間を掛けて追い抜き、その間は追越車線がずっと詰まるという状態が頻発しています。
新東名は大型車禁止にすればいいだけ
新東名は、東名だけでは捌ききれない交通集中による渋滞緩和のために、東名と並行する形で作られた高速道路です。
大型車は以前からずっと東名を使ってきたのですから、新東名は大型車・トレーラーなどの通行を禁止した上で、120~140km/hくらいに速度規制を緩和すれば全てが解決します。
新東名の制限速度が緩和されれば、目的地に早く着きたい一般車両は新東名を利用しますから、東名の交通量が減って大型車も助かります。私がルールを作るなら、新東名は軽自動車も禁止してしまうでしょうね。
その上で大型車の速度制限も100km/hまで緩和した上で、過積載の取締りを強化します。
大型車が曲がり切れずに大事故を起こしたり、止まり切れずに追突事故を起こす時のほとんどは、過積載による重量オーバーが原因です。重ければ重いほど止まれない。当たり前の事です。
過積載で検挙された場合は、ドライバーの責任は小として、荷主か運送業者の経営者に対して刑事罰(100万円以下の罰金とか)を用意しておけば良いでしょう。
日本の官僚主義の社会全体に言える事ですが、問題が起こっても組織のトップが責任を取らなくて良いシステムになっているのが問題なのです。ブラック企業なんて経営者を片っ端から刑務所に放り込んでいけばすぐになくなります。
せっかく作った新東名も、警察の抵抗と余計な規制のせいで利便性が著しく失われるでしょう。ああ、もったいない。