「あしなが学生募金」で有名なあしなが育英会が、ボランティア不足で募金が減って困っているそうです。
ボランティアと聞くと「自発的に社会奉仕している人々で偉い」と思う方が多いとは思いますが、実質的にはただの「タダ働き」です。
お涙頂戴記事でボランティアを増やしたいようですが、あしなが育英会の中の人々(事務局員とか)もボランティアで働いているのでしょうか?
茨城新聞クロスアイ
茨城新聞クロスアイ 4/21(金) 4:00配信
事故や病気で親を亡くした子どもへの奨学金を募る「あしなが学生募金」が減り続けている。事務局によると、主な原因は、街頭活動するボランティアが減ったため。昨年、全国の募金額は5年前と比べて4割減少。本県では募金活動を続けてきた4カ所のうち1カ所が人手不足で中止に追い込まれた。今年の募金活動は22日に始まる。
同募金はあしなが育英会の奨学生が中心となり、毎年春と秋に行う。中・高校生などの当日ボランティアも参加する。募金額の半分は同会の奨学金、残りはアフリカの遺児の高等教育支援に役立てられる。
あしなが学生募金事務局(東京)によると、県内で同会の奨学金を受けている高校生や大学生などは計109人に上る。
茨城キリスト教大文学部2年の長谷川翔さん(19)=石岡市=もその一人。3歳で父を亡くし、母の下、3歳年下の弟と育った。中学卒業後は経済的な理由で定時制の高校に進学。昼間は週5日、スーパーでアルバイトし、貯金は進学資金に充てた。
大学に入ったものの、後期分の授業料が工面できなくなった。学業とアルバイトの両立に悩んでいる時、大学の掲示板で同会の奨学金を知った。
将来の目標は小学校の教員。「児童が課題を一つ一つ乗り越えられるよう指導したい。貧困に悩む子どもの手助けもしたい」。奨学金に感謝しながら、大学に通い続ける。
事務局によると、2016年の全国の募金額は2億2200万円。11年と比べ1億4400万円減った。奨学生の事務局員とともに街頭で募金を呼び掛けるボランティアの減少が影響しているという。参加団体数は16年が2280団体で、11年に比べて336団体減った。
県内の募金額も11年は350万円だったが、16年は250万円と減少。昨年春の活動は人手不足が響き、続けてきたつくばエクスプレス(TX)つくば駅前での活動を断念した。事務局県代表の長谷川さんは「1人よりも仲間と活動できれば、募金も増えると思う」とボランティアの存在の大きさを強調する。
県内の今春の活動は、取手駅(22日)▽日立駅(23日)▽つくば駅(30日)▽水戸駅(22、23、29、30日)の4拠点で開く。時間は午前10時から午後6時。事務局は現在、年代を問わず各拠点での活動に協力するボランティアをホームページなどで受け付けている。
事務費って何?
この記事だけを読むと、「ボランティアが減少していて大変なんだ!」と考え、善意がある者ほど「自分もボランティアをやって社会貢献がしたい」とか考えがちです。
しかし、本当にそうでしょうか?
あしなが育英会の収支報告を見てみましょう。2014年度と2015年度の物が見れます。
まずは収入の部から、
寄付金収入が33億円もあって、収入のメインであることは確かですが、奨学金の返還収入も15億円前後もあります。
支出の部を見るとはっきりしますが、奨学金のほとんどが貸付(借金)で、給付はほとんどありません。利率や返済期間が異なるだけで、学生ローンと変わりがないのです。
東日本大地震津波特別会計からも5億円以上の収入があります。北関東や東北が被災したことと、関東以西の学生の貧困に何か関係があるのでしょうか?
色々あって当期収入は2014年度が66億円。2015年度も58億円ある上、繰越が毎年30億円近く発生しています。
ん?寄付金収入が33億円なのに、30億円近い繰越金が出せるという事は、寄付金が多少減ってもダメージなくないですか?
続いて、支出の部です。
- 奨学貸与金=学生に貸し付けた額 約22億円
- 奨学給付金=学生にあげた額 約300万円
寄付している人の感覚はどうでしょうか?
自分が寄付したお金が、貧しくて学校に通えない学生達の学費として役立てば、という善意から寄付していると思うのですが、実際にはそのお金は学生達に貸し付ける為の種銭となっていて、奨学金を貸与された学生達は、卒業時点から借金を背負ってスタートすることになります。
貸与が22億円もあるのに、給付が300万円っておかしいですよね?寄付者達はあしなが育英会にお金を貸している訳ではなく、単純に寄付しているのですから、あしなが育英会はそのお金を学生達に給付すべきであって、貸し付けて返済を迫るなど言語道断です。
もっと意味がわからないのが「事務費」です。事務費と書かれているものを列挙してみましょう。
- 奨学・返済事務費:9400万円
- 教育事務費:2億9100万円
- 募金事務費:2億400万円
- 管理費等:2億8600万円
事務費だの管理費だのという内訳がよくわからないものに対して9億円近い経費がかかっているのですが、これって事務局員の人件費や役員報酬に使われてるなんて事はないですよね?
疑惑はまだまだあります。
事務費とは別に「事業費」という項目があり、様々な活動に多額の支出が見られます。
- 心のケア事業費:1億5900万円
- 広報・調査研究事業費:1億円
- 海外遺児支援事業費:7億5000万円
- ウガンダ事業費:9000万円
- ウガンダ心塾建築費:5200万円
- 東日本大地震津波遺児支援事業費:1億7400万円
海外支援が悪い事だとは思いませんが、日本の学生が困っていて奨学金の元手となる寄付金が足りないとか言い出すなら、先にこのあたりの支出を国内の学生に給付すべきでしょう。
で、法人会計に3億円繰り入れたかと思えば、法人部門の管理費が2億8600万円って…役員報酬にでも使っていない限りは「管理費」で2億8600万円も掛かるわけがないでしょう。
やっている事が官僚による特別会計のカラクリと同じような感じで、要するに寄付金から中抜きして甘い汁を吸っている奴らがいて、学生に「給付」されたのはたったの300万円というのが実態です。
それでもカネが余るらしく、翌年度への繰入金が29億7700万円ほどあるのですが、「ボランティアが足りないせいで貧困学生が困ってるからボランティア募集!」ですか?
ボランティアがそんなに大事なら、まずは役員名簿に名前がある人々が、無償で街頭ボランティアに立って募金を呼びかければ良いでしょうし、所得が高そうな人間ばかりがリストアップされていますから、余力があるだけ募金すればいいでしょう。
寄付金詐欺はあしながだけの問題ではありません。ユニセフだろうが赤十字だろうが、事務局があるような団体はどこでも中抜きをしています。
困っている学生の援助がしたいのであれば、どこかの団体に寄付するのではなく、実際に困っている学生を見かけたらいくらか包んで渡してあげるのが良いでしょうし、そんなに善意の塊のような人間なら、公園でテント暮らしをしているホームレス達を看過することなど出来ないハズです。既に日常的に炊き出しボランティアに行ったりチャリティ事業に参加しているハズです。
私ですか?私はそんなに善意がある人間ではありませんから、募金などほとんどした事がありません。その代わりに、空き缶に小銭を入れてくれと座っている方や、資金がないけど頑張っているストリートミュージシャンなどを見かけたら、財布の中の小銭を全部入れてくるくらいの事を続けています。
警察官を続けているような異常者を見れば見下す事もありますが、ホームレスや外国人労働者を見下した事はありません。彼らと私は対等な立場の同じ人間であり、何かのキッカケがあれば私があちら側にいる可能性だっていくらでもあるからです。
ただ、どんなに生活が苦しくなって稼ぐ手段が必要になったとしても、警察官にだけはなりません。血税を吸って生きている分際でありながら、事故を起こしてもおらず、ただ道路を走っているだけの運転手からカネや免許を取り上げる事で糧を得ているような奴らを尊重する気だけは1ミクロンも起きないのです。
コメント
『ボランティア』の捉え方が日本とアメリカでは違うと、
アメリカで数年勤務したことがある方から聞いたことがあります。
日本では「奉仕の精神」、アメリカでは「社会的ステータスの象徴」とのこと。
施しができるほど収入があることを示す、バロメーターのようなものだとか?!
大人になってしばらくは、ボランティアは「無償」だと思い込んでいましたが、
「有償」のものも意外とありますね。
最低でも、交通費程度の支給があっていいと思います。
ボランティア団体の規模が大きいほど、
タダ働きのボランティアをまとめている事務局員が、
ラクして儲けている気がしてなりません。
アメリカは基本的にはキリスト教国ですから、奉仕と言っても最終的には神への奉仕であり、自分が天国に行く為に必要な行為という認識もあります。
また、罰金刑に相当するような罪状で起訴された場合にも、社会奉仕活動○○時間というような判決が出たりして、お金を払う代わりに奉仕活動をするという観点もあります。
社会的ステータスの象徴という話もそうですが、カネを払う代わりに奉仕活動をするというような共通認識があるようです。
一方で日本では、「ボランティア活動に励んでいる」と言うと「無償で働く善人」という認識が入る印象が強いですが、よく考えるとこれはおかしいです。
無償で労働行為を提供する(交通費が出ても時給や日当が出なければ無償と同等だと思います)人間が偉いのであれば、低賃金で働く労働者ほど偉い事になり、高給取りや所得の高い人間は悪人と捉えるのでなければ矛盾します。まあ、実際に本当に悪い奴は表には出てこないで不労所得を荒稼ぎしている連中だとは思いますが…
私の考えでは、ボランティアという名のタダ働きは法律で規制して、あらゆる労働行為にはその組織の運営者が、もしくは公共の仕事であれば国が、最低賃金以上の賃金を支払わなければならないというルールにした方が良いと思います。例えばホームレスの方々への炊き出しを手伝ってくれた人には、ホームレスを生み出すような社会を構築している国が責任を持って賃金を支払うべきですし、そういうところにこそ我々の血税を投じるべきなのです。
高校生くらいまではホームルームが終わると生徒が教室の清掃をさせられていますが、欧米では掃除は清掃業者の仕事であり、学校や国がちゃんと清掃業者に清掃料を支払います。本来であれば有償でさせるべき仕事を生徒達に無償でやらせているあたりから、日本の感覚は欧米とは大きく異なっているのです。
別に欧米流が全て正しいとは思いますが、「自分達が使っている教室なのだから自分達で掃除をしろ」と言うのであれば、道路や公園を使っている大人も掃除をしなければなりません。そして、そういう事を全て自分達でやるのであれば、税金を支払って公務員を雇う必要はない訳ですし、学生に関して言えば私立だろうが公立だろうが、カネの出所が異なるだけで、授業料なり施設管理費などは、保護者や国が支払っているのですから、どこからどう考えても生徒が掃除をさせられる理由はないのです。
そう考えてみると、日本は非常に非合理的な運営がされている国家であり、だからこそ大人達が馬車馬の如く長時間労働を続けていても、「国民一人あたりのGDP」が22位に低迷し、先進国どころか本来ならG20にも入れないような後進国に近付いてきてしまっている理由ではないかと思います。