データでわかる!警察が取締りをすれば交通事故は減るの?

交通事故に関する考察の記事と一部重複していますが、この記事自体はこれはこれでまとまっていると思いますので掲載しておきます。

出発点はここです。

検挙数と事故発生数

警察は「事故防止の為に検挙してる」と言うが、検挙数と事故発生数には関連性があるのか?

まずは検挙数の推移を見てみましょう。他の記事でも使ったリンクですが、
http://www008.upp.so-net.ne.jp/ko-tu-ihan/LIBRALY/LIBRALY_hukiso-ritu.htm

1989年以降は概ね年間800万件から900万件の間で推移しています。反則行為か非反則行為かの判断はこの表からは出来ませんが(反則行為でも否認すれば送検されるため)、略式命令+公判請求+不起訴を足せば送検数はわかります。最後に取締件数から総件数を引くと、「反則金を支払った人の数」がわかりますので、これを表にしてみるとこうなります。
取締件数    送検数    反則金を支払った人の数
1989   8,474,055   1,009,369    7,464,686
1990   9,040,369   1,056,419    7,983,950
1991   9,264,950   1,052,357    8,212,593
1992   8,846,233   1,060,621    7,785,612
1993   8,600,922   1,076,238    7,524,684
1994   8,653,881   1,020,534    7,633,347
1995   8,362,792    920,001    7,442,791
1996   8,666,385    962,207    7,704,178
1997   8,965,413    997,122    7,968,291
1998   9,000,102    979,376    8,020,726
1999   8,953,560    986,096    7,967,464
2000   7,882,785    874,836    7,007,949
2001   7,774,398    859,287    6,915,111
2002   7,791,587    832,330    6,959,257
2003   8,106,728    770,920    7,335,808
2004   8,505,919    749,770    7,756,149
2005   8,939,678    718,253    8,221,425
2006   8,573,609    685,207    7,888,402
2007   8,480,056    597,300    7,882,756
2008   8,175,691    512,500    7,663,191
2009   8,345,760    464,354    7,881,406
2010   8,040,944    433,317    7,607,627
2011   7,844,013    401,277    7,442,736

私が気付いたのは以下の2点です。

①送検数は減少の一途。つまり悪質かつ危険な非反則行為の検挙は減り続けている。

②反則金を支払った人の数に、反則金の平均額と思われる1万円を掛けると、どこかで見た数字にならないか?

2009年度の反則者納金の予算額を示す書面がこれです。
http://www.bb.mof.go.jp/server/2009/pdf/200912001000098.pdf

平成21年度(2009年)の予算額は、平成20年度(2008年)の決算額から立てるのが公務員流ですが、
2008年に反則金を支払った人数が766万3191人で、2009年度の予算額が766億2221万2千円って、あまりにも符合し過ぎていませんか?

まあ、反則金制度のカラクリを考えれば当たり前なんですが、どうみても予算の為に検挙していて、それを元に次の予算を作っていますね。一方で悪質かつ危険な違反が多いと思われる非反則行為の検挙は1993年の半分以下まで落としています。送検される非反則行為というのは、無免許・飲酒・速度超過を中心とした事故に直結する違反とされるものなのですが、これは一体どういうことでしょうね?

事故発生数のデータ

そこで次のデータを見てみましょう。
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2009/01/post_4370.html

戦後の事故発生数などのデータなんですが、確かに交通事故死亡者数は減っていますが、事故発生数はどうなっているでしょう?

1976年からピークの2006年くらいまで事故数は増加の一途を辿っています!明らかに反則行為の検挙数とは関連性がなく、送検数の減少と反比例して増えています!

2007年からは発生数が微減していますが、それでも死亡者数ピークの1970年以上発生数を維持していますし、これにはそれなりに説明が付く原因が予想されます。まずはこれです。

http://www.police.pref.hiroshima.lg.jp/archives/statistics/jikotoukei/15-04.pdf

死亡事故の第一当事者(運転者)の構成割合を見てみると、65歳以上が23.2%もあります。さらに原因を見てみると、

本当の事故原因

http://www.mlit.go.jp/k-toukei/search/pdf/23/23000000×01606.pdf

安全運転義務違反、つまり不注意や操作ミスによる事故の割合を計算してみればわかりますが、以前は半数以下だったのに最近はこの割合が50%を大きく超えています。

つまり、高齢者が検挙対象とはならない運転操作ミスや不注意で事故を起こしているのがよくわかります。この高齢者の事故は検挙では防げないのですから、検挙数・送検数に関わらずに増減しても何ら不思議ではありません。

そもそも、反則金を原資とした交通安全対策特別交付金は、都道府県の事故数/全国の事故数 という感じの数式で算出されますから、警察は出来るだけ事故を減らさないように検挙しています。極端な話が事故がゼロになってしまったら予算もゼロになってしまうのですからね。だとすれば、事故総数が減っている理由は「実運転者人口が減っているから」という単純な理由でしょう。高齢化で運転しなくなった老人も多いでしょうし、若年層の貧困化で今の若者は自動車が買えません。ボリュームゾーンである第二次ベビーブーム世代は40代になりました。精神的にも落ち着いてきて事故が多くない世代ですね。

つまり、事故数の減少には警察は何の寄与もしていないのです。年間700万件以上も検挙し、700億円もの反則金を収奪しているのに、です。

交通事故死亡者が減っている理由

では、死亡者数は何故減っているのでしょうか?その答えは簡単です。

ABSなどの自動車の制動性能の進化や衝突安全ボディなどによる歩行者側の被害の軽減、また緊急医療の進歩によって以前なら死亡していた被害者が助かるケースが増えているからに過ぎず、警察による反則行為の検挙などごく一部を除けば(シートベルト着用率UPは流石に貢献していると思う)死亡事故軽減には何の役にも立っていません。現に送検数を減らし続けた期間に、事故発生数は増加の一途だったではないですか!

ということです。警察シンパは反論したくもなるでしょうが、

前述の表で反則金収入が概ね800億円弱で調整されている点や、事故が増えているのに交通三悪とされる「無免許・飲酒・(大幅な)速度超過」の検挙数は減少させ続けている事実と、事故発生数が30年間も増え続けた事実を鑑みれば、警察の検挙は事故減少には何の役にも立っていないどころか、交通三悪の検挙数を減らす事によって、むしろ事故を増やしています。また、いまや交通事故の主役である高齢者が、非検挙対象の安全運転義務違反で事故を大量発生させているのを防ぐには、前々から私が主張しているように、免許基準を厳しくして運転技術が低い者からは免許を取り上げなくてはならないのではないでしょうか?

事故率の国際比較

さて、次は視点を変えて国際比較のソースを見てみましょう。

http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/6836.html

日本は歩行者の死亡者が多いですね。自転車と合わせると実に45%を占めています。すぐに道路事情だの何だのと言う人がいますが、車が歩道に突っ込む事故はそう多くはないですから、被害者になりやすい歩行者と自転車が、車道を横断したり車道を走行したりする事の危険性を自覚していないのが原因と見るべきでしょう。事実、高齢者の死亡原因で多いのが走行車両の直前直後の横断や、横断歩道外横断なのですから、自動車ばかりを悪者にした判決を出し続け、交通弱者を保護し過ぎた結果、夜普通に運転しているだけでも、横断歩道外横断・自転車の無灯火・自転車の右側走行を見かけない日は無いような国にしてしまったのです。司法当局関係者はこの事実を認めた上で、歩行者・自転車にこそ安全な道路の使用を勧めるべきだと思います。

さて、ショッキングなのが次のデータです。
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/6830.html

事故率が異常に高くないですか?擁護派は狭い国土だとか人口密集などを挙げますが、スイスだって山ばっかりで都市部は狭くて人口が密集しています。ワールドカップの時にあれだけ治安の悪さを心配された南アフリカとほぼ変わらない事故率ってのはどうかしていますね。韓国なんか旅行で行っただけでも運転マナーの悪さに閉口する国ですが、事故率では日本が上回っているのですから、日本の警察の無能ぶりには恐れいるばかりです。

ここでも死亡率では日本は低い部類に入りますが、要するに日本車は安全性能が高く、医療も発達しているから怪我で済むというだけの話であって、人は死ななければOKってことではないでしょう?事故から24時間以内に死ななければ死亡者数にはカウントされませんし、脳死して植物状態になっても死亡者数には含まれません。後遺症が残る重傷を負ったら社会生活は極めて厳しくなりますが、交通事故死亡者数が減っているのは警察の業績みたいな論調も目にします。シートベルト装着率が上がって死亡者が減ったことについても、あれはそもそも車に付いている装備であって、昔の車には付いていなかったのですから、自動車の安全性能の向上の一部でしかないでしょう。

交通三悪は本当に悪いのか?

で、交通三悪とやらが死亡事故に占める割合は

http://www.npa.go.jp/hakusyo/h20/toukei/t3-07.pdf

無免許1.6%、速度超過8.0%、飲酒1.6%で全部足しても11.2%にしかなりませんがわき見運転と漫然運転だけで27.9%ですよ?事故原因の「その他」ってのが意味不明ですが、交通三悪ってのは「無免許・飲酒・速度超過」ではなく、「わき見・漫然・その他」に変えた方がいいのでは?

交通事故総合分析センター?

本当はもう少し詳しい資料を読みたかったのですが、調べてみようとしたら…
http://www.itarda.or.jp/materials/publications2.php?p=1

書籍版で¥3150も高すぎですが、excel版だと¥8850ってのはどういう価格設定なのでしょう?書籍になったデータをexcel化するだけで1冊あたり¥5700もコストが掛かるのでしょうか?そもそも

この「財団法人 交通事故総合分析センター」ってのが、警察OBの天下り&再就職用受け皿会社じゃないですか?「警察庁交通局のご協力を得て」とか「政府刊行物サービスセンター」ってあたりでそういう腐臭がはっきりしてくる上に、この政府刊行物サービスセンターも独立行政法人なんですけど?事故統計なんてものは、警察庁交通局で作成してHPで公開すれば済む情報なのに、わざわざ天下り会社に発注して有料販売するなんてのは、公務員のコストカットどころかコスト増にしかなってないでしょう!交通事故総合分析センターは、どうせ随意契約で警察庁から金をもらって統計データを書籍化&excel化しているだけでしょう?それで国民にも有料販売して利益を得ているとしたら、これが行政の腐敗でなくて何だと言うのでしょうか?

本当にいい加減にして欲しいですね。こういうところを業務仕分けしてコストカットをして欲しいです。天下り先と有料販売で二重取りされるくらいなら、公務員人件費が増加してでも定年までちゃんと働かせて、こういうデータは無料でHPで公開すべきだと思います。

警察の事故件数の扱い方

既に消されている記事だと思いますが、挙句の果てには警察はこういうことまでやっています。もはや統計すら意味をなさないのかも…

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110113-00000028-maip-soci

ちょっと抜粋

人身事故件数を少なく計上していた理由について、加茂賢治監察課長は「当時、県警では人身事故抑止に重点を置いていたが、効果が上がらず、人身事故件数を減らす方法として誤った判断をした」と断定。

おやおや、県警の監察課長が「人身事故防止に重点を置いても効果が上がらなかった」と認めてしまっているではないですか。これに関する可能性は2つしかありません。

①後でそう言い訳しているだけで、人身事故防止に重点なんか置いていなかった。
②反則行為ばかりを検挙しても人身事故防止には効果がない事が証明された。

個人的には①だと思いますが、②だったとしても驚きはしません。何しろ事故原因の上位3つは「わき見・漫然・その他」なのですから。それにしても「その他」って何でしょう?事故原因を違反別に集計したのに「その他」って事は一切の違反がなくて起きた事故って事ですか?いよいよもって歩行者・自転車側の過失を精査しないと事故は一向に減らないのではないでしょうか?

ちなみに少しだけ続報が出ました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110115-00000050-mai-soci

ソースは消えているでしょうから少し抜粋します。

交通企画課長として当初から隠蔽に関与した松尾正博・交通部長や県警によると、計3回の通達の内容を決める会議に出席したのは交通部幹部の計6人。松尾部長は「連日会議を開き、いろいろな事故抑止策の意見が出る中の一つとして出た。誰が発案したかは分からない」と述べた。

ほほう… 「色々な事故抑止策の意見が出る中の一つとして出た。」と言っていますが、この日本語だと事故件数を隠蔽する事も「事故抑止策の一つ」としか読めません。はて、警察は事故件数の一部を統計に入れないという行為を「事故抑止策」だと思っているのでしょうか?

さらにそれに続けて

また、「統計上のことでしかないと考え、不正行為の認識はなかった。今考えれば判断を誤っていた」と話した。

お前その直前に「事故抑止策の一つ」って言ってるじゃん。それを「統計上のことでしかない」ってまるで軽い事のように言っていますが、事故は減っていないのですから大問題でしょう?「判断を誤っていた」とも言っていますが、

「見かけの事故件数を減らす為に一部のデータを統計に入れずに隠蔽するかどうか?」ってのは不正行為なんだから、するかどうかを判断する問題じゃねぇよ。痴漢した奴が「痴漢するかしないかの判断を誤った」って言えば警察が許すのかよ?

挙句の果てには

一方、末沢部長は、通達を出した当時の交通部長2人(いずれも退職)の退職金について「迷惑をかけたことは真摯(しんし)に受け止めているが、交通行政に大きな影響は与えていない」と語り、県警として返還を求める考えがないことを表明した。

待って下さい。公務員で部長と言ったら民間企業の重役にも匹敵する出世頭ですよ?そういう役職ってのは、部下の行為にまで責任を負わされる代わりに高給をもらっているのでしょう?なぜそいつらがお咎めなしなのでしょうか?違法行為かどうか以前に、国民の警察に対する信頼を失墜させた事自体が不祥事でしょうに。しかもこれは末端の不祥事ではなく、本部長が厳しく叱責したもんで、交通部長周辺で話し合って決めた本人達の不祥事でしょう!

そんな公務員の給料は?

しかも公務員で部長ってどのくらいもらってるか知っていますか?

http://wassyoiwassyoi.web.fc2.com/koumuin/nenshuyuumoderu-yokohama.htm

これは横浜市職員の給与だから完全にはリンクしないが、警察官は危険手当等でもっと高い恐れすらあるのですが、

40代後半で1000万超え、50代後半なら1200万超えで、それを基準として退職金が支払われています。退職金はもちろん部長職の在職期間中の給与も全て返還させるべきです。そいつらが今どこに天下りしているのかも公開しなさい。一体日本国民はどこまでお人よしなのでしょう?

調べれば調べるほど怒りしか湧いて来ませんが、もう一言だけ…

事故件数の統計数値が操作されていたら大問題です!この記事自体が警察庁発表の事故統計を元に作成されているのに、他の都道府県警でも隠蔽が常態化していたら、この記事に書いた以上の事故が発生している可能性が出て来てしまいます。それ自体が「交通行政に多大なる影響を与えている」のですよ?

これでも警察に止められたら素直に反則金を支払うべきでしょうか?擁護派の皆さんもご自分の頭でよく考えてみて下さい。

まとめ

  1. 危険とされる非反則行為の送検数は減らしている
  2. 交通事故の原因は交通三悪ではなく不注意
  3. 国際比較を信用するなら日本の事故率は異常に高い
  4. 警察が事故を減らしたい時は統計値を改竄する
  5. そんな公務員に高給を払う意味があるのか?

記事の内容が「参考になった!」「興味深かった!」という方は、是非twitterやFacebookでシェアして下さい!アクセス数アップが励みになります!

twitterはじめました

コメントをどうぞ