大阪府警、4300事件の捜査資料放置 証拠品など1万点

大阪府警が4300件もの事件の捜査資料を放置し、全てが時効になってしまっていたようです。

例によって「誰も責任を取らない」のではないでしょうか?

大阪府警、4300事件の捜査資料放置 証拠品など1万点

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO96768420R00C16A2CC0000/

http://archive.is/KuK8R(魚拓)

20160202

2016/2/1 13:51

大阪府警の全65署のうち61署で、約4300事件の捜査書類や証拠品が本来の保管場所でない機械室などに放置されていたことが1日、府警への取材で分かった。放置された捜査書類などは計1万点を超えるとみられる。全ての事件で公訴時効が成立しており、書類や証拠品を検察庁に送致していなかった。証拠品などのずさんな管理体制が改めて問われそうだ。

証拠品などの大半は暴行や傷害といった事件に関わるもので、殺人などの重大事件は含まれないという。

府警刑事総務課は証拠品などが放置された理由について「捜査員の異動に伴う引き継ぎ漏れが多いとみられる。捜査を意図的に放置した事案は現時点では確認できない」としている。

府警によると、捜査書類や証拠品は保存簿を作成したうえ、倉庫などに保管しなければならない。しかし61署では、これらの書類や証拠品が段ボールなどに整理しないまま入れられた状態で、機械室や車庫などで見つかった。一部は保存簿に記載がなく、約30年前の事件のものもあった。

約1千事件は容疑者などの氏名が特定されており、加害者と被害者の間で示談が成立するなどして捜査を終えた事件も多かった。刑事訴訟法は、警察は捜査終了後に書類や証拠を検察庁に送致しなければならないと定めているが、適切に送致していなかった。

府警は放置が判明した証拠品などを順次送致しており、1日時点で約1700事件に関する約6300点を送致した。証拠品には被害者に返還するものも含まれており、返還の手続きも進める。

今回、証拠品などの放置が発覚した事件の中には、警察署で被害相談などを受けた際に作成する「犯罪事件受理簿」の記載がないものがあるという。受理簿の内容は警察庁に送信して犯罪統計に計上されるため、統計に影響する恐れもある。

府警は、2014年に羽曳野署で捜査書類などの放置が発覚したことを受け、全捜査部署を対象に調査を進めていた。府警は今春までに調査結果をまとめる方針という。

時効が成立してしまっている

全ての事件で公訴時効が成立しており、書類や証拠品を検察庁に送致していなかった。

凄いですよね。犯罪捜査をして立件して送検するのが警察の仕事なのに、要するに捜査しないで放置しているうちに時効になってしまったという事です。

既に犯罪天国になっているニホンですが、不審死の多くを自殺や「心不全」(心不全は病名ではなく「心臓が止まった」と言ってるだけです)で処理してしまい、犯罪認知件数を減らして平和な国のフリをしているだけでも罪深いのに、認知した犯罪ですら放置してしまうのですから恐れ入ります。

暴行や傷害は大した事件ではない?

証拠品などの大半は暴行や傷害といった事件に関わるもので、殺人などの重大事件は含まれないという。

和訳しますね。「殺されない限りはちゃんと捜査しないけど問題ない」と言ってるのと同じです。

暴行罪や傷害罪って軽犯罪ではないと思うのですが、刑法ではどうなっていましたっけ?

刑法208条(暴行)

第208条  暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法204条(傷害)

第204条  人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

暴行と傷害の違いは「被害者が怪我をしたかどうか」みたいですが、暴行罪ですら2年以下の懲役、傷害罪に至っては15年以下の懲役まで用意されている重大犯罪ですよね?

大阪府警の主張としては「放置したのはせいぜい懲役15年以下の「重大事件ではない犯罪」だから、放置してる間に全部時効になっちゃったけど、誰も責任取らなくていいよね?」ってことですね。

なら道交法違反も放置してくれ

傷害罪の捜査を放置してても後で証拠品だけ送致すれば誰も責任を取らなくて良いなら、事故を起こしたワケでもない道交法違反容疑も放置して欲しいものですね。代表的な道交法違反の罰則を見てみますと…

  • 酒気帯び運転(重度):5年以下の懲役または100万円以下の罰金(117条の2)
  • 無免許運転:3年以下の懲役または50万円以下の罰金(117条の2の2)
  • 酒気帯び運転(軽度):3年以下の懲役または50万円以下の罰金(117条の2の2)
  • スピード違反:6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金(118条)
  • 信号無視・一時不停止など:3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金(118条の2)
  • 駐停車禁止違反など:懲役や禁錮はなし。15万円以下の罰金or10万円以下の罰金(119条の2または3)
  • 警官の交通規制の指示を無視:5万円以下の罰金(120条)

15年以下の懲役の傷害罪が「重大事件ではない」なら、酒酔い運転や無免許運転も重大ではないことになります。

2年以下の懲役の暴行罪が「重大事件ではない」なら、スピード違反も信号無視も一時不停止も、非常に軽微な違反でしかないことになります。

こんなサイトをやっている私から見たって、酒酔い運転や無免許運転には罰を与えても良いだろうと思うくらいですが、当の警察にとっては懲役15年以下の傷害罪ですら「放置して時効になっちゃったけど誰も責任取らなくていいよね?」と言うのですから、最大限譲歩してもスピード違反以下の交通違反も全部放置して時効にして欲しいと思います。

その代わりに、事故を起こした者への罰則は、歩行者側の責任も含めて厳しくすればいいと思います。「被害者がいるのかいないのか?」が私にとっての刑罰が必要かどうかという判断の分水嶺です。

刑事訴訟法に罰則規定はない

刑事訴訟法は、警察は捜査終了後に書類や証拠を検察庁に送致しなければならないと定めているが、適切に送致していなかった。

そうですね。刑事訴訟法246条違反でしょう。

刑事訴訟法246条

第246条  司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。

今回の府警の事件は誰がどう見てもこれです。しかし、誰も裁かれません。それはなぜでしょう?

その答え「刑事訴訟法には罰則規定がなく、捜査関係者は違反し放題の警察国家だから」ですね。

証人がバックれたようなケースは罰則の適用もあるのですが、捜査関係者(警察・検察など)が刑事訴訟法に違反しても、罰則はありませんし逮捕も立件も起訴もされません。刑事訴訟法は手続法なので、刑訴法に違反した取調べによる証拠は証拠採用されず、結果として無罪が出て、国賠訴訟を起こされるリスクくらいしかありません。

これでは、警察や検察が刑訴法を守ろうとしないのも当たり前ですよね。無罪が出そうな事件は不起訴にしちゃえばいいんですから、録画・録音などで刑訴法違反の証拠を残されない限りはやりたい放題ですし、被疑者に証拠を握られたら不起訴にしちゃえば無問題というワケです。

無罪が出たって国賠で負けたって、捜査員本人には何のデメリットもありません。まあ「出世しにくくなる」くらいのリスクはあるかもしれませんが、懲役刑や罰金刑を食らって前科者になってしまう我々国民とはエライ違いがわるワケです。そりゃちゃんと捜査なんかしませんって。

大阪府警は何故放置したのか?

これも答えは簡単ですよね。

道交法違反は反則金徴収額に予算があるし警察OBも潤うが、傷害罪や暴行罪を真剣に捜査するメリットが警察にはない。要するに「カネにならないから」です。

警視庁24時、みたいな御用番組の中では「犯人を絶対に捕まえてやる!」とかやってますけど、今のニホンの犯罪検挙率って50%くらいしかないですよ?

http://kmktwo.blog95.fc2.com/blog-entry-219.htmlよりお借り

http://kmktwo.blog95.fc2.com/blog-entry-219.htmlよりお借り

窃盗を除く一般刑法犯罪に絞ると、現在の検挙率は30%ちょいしかありません。

犯罪を犯して、その犯罪がバレても(警察が認知しても)3人に1人くらいしか捕まらない国なんです。

http://www.nippon.com/ja/features/h00068/よりお借り

http://www.nippon.com/ja/features/h00068/よりお借り

何が「逃げ得は許さない!」「絶対に犯人を捕まえる!」なんですかね?

警察や警察擁護者は、人員が足りないみたいな事を言い出しますが、警視庁だけで4万2千人もいるんですよ?で、警視庁が発表している刑法犯罪の認知件数は

  • 平成26年(確定値):159,813 件
  • 平成27年(暫定値):147,781 件

ですよ?警察官一人あたり年間4名(3ヶ月に1人)を検挙出来ればいい話です。

人員が足りないのではなく、真面目に捜査する気もないし、その足りない足りないと言っている人員を事故とは無関係な軽微な違反の取締りなんぞに投入しているからこんな事になるのです。

交通違反なんか放っておいて、事故処理だけやって事故の加害者を立件しまくれば済む話です。私達が気を付けて運転するのは、警察の取締りが怖いからではなく、事故を起こしたら危ないし責任を問われるからでしょう?

大阪府警で起こっていた事は、全国の県警でも起こっているでしょう。だから検挙率がこんなにも低迷しているのですが、一番の問題はこのような不祥事が起こっても誰も責任を取らないし、また、取らなくていいように制度設計がされていることです。

これでもまだ、誰もいない事を確認して一時停止場所を徐行で通過した程度の事で、「違反は違反だ」とか「罪悪感はないのか?」などと言ってくる輩の相手をするのでしょうか?そんな寝言を言う前に我が身を振り返って見ろというお話です。

まとめ

  1. 警察はカネにならない事件の捜査はおざなりor放置です
  2. 警察は懲役15年もありうる傷害罪を「重大事件ではない」と言っています
  3. 放置して全部時効になってしまいましたが、刑訴法に罰則はないので警察は全員無罪です
  4. 交通違反は赤切符でさえ5年以下の懲役、青切符は半年以下の懲役が最高刑ですから、是非とも全部放置して時効にしてもらいたいものです
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コメント

  1. レガシー より:

    こんにちは。いつも興味深く拝見しています。さて、昨日のニュースで、またマスゴミの無知な市民への交通違反したら逮捕されるんだ、という誤った認識を植え付ける記事を見つけました。岐阜県の東海北陸道を制限速度80キロのところを46キロ超過の126キロで走行した自称17才のアルバイト女性を道交法違反、速度超過の容疑で逮捕したらしいです。普通の無知な市民が読むと、あぁ、スピード違反したら逮捕されることもあるんだ、素直にケーサツ様の言うことを聞かないとヤバいな、と思ってしまうでしょうね。ですが、この記事のポイントは自称17才、というところですね。要するに、無免許で、かつ、その他の身分証明を所持していなかったので、居所不明で逮捕されたと思います。高速道路で46キロ超過なんて、よくある出来事ですね。そんなんで逮捕されるなんて、あり得ない馬鹿馬鹿しい話なんですが、マスゴミに騙される市民が沢山居るんでしょうね。

    • 取締り110番 より:

      ニホンでは小学校~高校までの12年間を掛けて、「教科書に書いてある事は正しい(嘘である可能性は考えない)」「先生(権力者)の言う事には従わなければならない」「部活では先輩後輩のケジメを付けろ(年長者の言う事は理不尽でも聞けということ)」なんて洗脳教育をしていますからね。多くの人の洗脳が解けないのも当然と言えば当然です。

      洗脳が解けるかどうかの分岐点は、「常識に囚われずに自分の考えを持てるのか」と「その自分の考えさえも疑う事が出来るのか」というあたりだと思いますが、これがなかなか難しいですよね。私も日々騙されては気付かされの繰り返しで、一向に賢くなっている気がしませんw

      東海北陸道を走った事はありませんが、1車線区間なら120km/h、2車線区間なら140km/h制限くらいが妥当でしょうから(私はもっと出したいですが…)126km/hなんてのは極普通の速度だったでしょう。まあ、免停中以外の無免許は許し難いので逮捕も仕方ない事例だと思いますが、「速度超過の容疑で」としか書かないのがマスゴミの詐術ですね。「事実を全て述べたワケではないが、嘘はついていない」とでも言うのでしょうねw

      とはいえ「自称17歳」は読んだ瞬間に「あれ?17歳じゃまだ免許取れなくね?」と感じるのが普通だと思いますので、マスゴミにしてはヒントをくれた方ではないでしょうか。それすら発想に出てこずに「スピード違反なんかするからいけないんだ!」というような脊髄反射をしてしまう人は、国家や権力からすれば、残念ながら人間ではなくただの「ヒト」という名の家畜です。

      そんな事を言ったら私なんかは害虫レベルの存在でしょうから、いつ叩き潰されてもおかしくないのですが、交通違反の否認率はむしろ下がっていますので、私の身も当面は安全でしょう(-o-;

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