[痴漢冤罪]誤認逮捕して人生を狂わせても責任を取らない警察[また大阪府警]

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無罪判決「痴漢現行犯」に問われた男性 大阪府警が誤認逮捕 地裁支部「証拠不十分」

http://archive.is/WFejD(魚拓)

毎日新聞2016年8月23日 大阪朝刊

南海電車の車内で2014年12月、乗客の女性に痴漢をしたとして大阪府迷惑防止条例違反罪に問われた兵庫県の元会社員の男性(26)に対し、大阪地裁堺支部(渡部市郎裁判官)が昨年8月、無罪判決(求刑・罰金40万円)を言い渡したことが分かった。弁護人の藤野恵介弁護士が明らかにした。警戒中の大阪府警の捜査員が男性を取り押さえたが、結果は誤認逮捕で、検察側は控訴を断念した。【向畑泰司】

「全国痴漢冤罪(えんざい)弁護団」の生駒巌弁護士によると、警察官が現行犯逮捕したケースの無罪は極めて珍しい。

通勤中だった男性は南海高野線・堺東駅(堺市堺区)に停車中の電車内で14年12月4日朝、20代だった女性の下半身を触ったとして起訴された。

判決によると、女性はこの約2週間前、同じ車内で男性に似た人物に痴漢されたとして府警に被害相談。12月4日は、鉄道警察隊の捜査員3人が女性に同行し、警戒した。

当時、大阪狭山市に住んでいた男性はその前の北野田駅から乗車し、女性のすぐ後ろに立つことになった。捜査員は女性の指摘で様子を見ていた。堺東駅で降りようとした女性が「痴漢された」と申告したため、捜査員は男性を駅に降ろし、現行犯逮捕した。

男性は「満員で手のひらが女性に触れたかもしれないが、痴漢の意図は全くなかった」と関与を否定。堺東駅に到着した時、座席が空くと考え、立っていた場所から移動しようとしていたという。

判決は「手の接触は女性が着ていた厚手のコートの上からで、ごく短時間」と指摘。乗客をかき分けて動いたという男性の行動は捜査結果からも不自然な点はなく、「痴漢の意図があったと認定できない」と結論付けた。

また、検察側は約2週間前の被害も男性の関与を疑い、「以前から女性を標的にしていた」などと主張した。渡部裁判官は以前の相手と男性が同一人物か確証がない点などを挙げ、「証拠不十分の中、これを本件の立証に用いるのは不適切」と検察側を批判した。

府警は「コメントは控える」としている。

男性退職「人生狂わされた」
「痴漢」の汚名を着せられた男性は、逮捕を機に当時の職場を去った。「決めつけの捜査で人生を狂わされた」。取材に悔しさをにじませた。

南海電車が堺東駅に乗り入れ、扉が開いた時だった。近くの私服男性に腕をつかまれ、ホームに降ろされた。

「お前、触ったな」。大阪府警の捜査員だった。被害を訴える女性も初めて見る顔。「何ですか」と何度も確認したが、捜査員は「現行犯や」と聞く耳を持たず、連行された。

留置場では5畳ほどの部屋に別の男2人と入れられ、満足に眠れない。認めて逃れたいと考えたこともあった。勾留は起訴まで20日間に及んだ。

無罪判決を言い渡されたのは保釈の8カ月後で、休職中だった保険会社はすぐ退職した。上司は復職を勧めたが、周囲が無罪を受け止めてくれるか自信が持てなかった。

男性は兵庫県の実家に戻り、飲食店で週5日のアルバイトをして生活している。満員電車には怖くて乗れないという。警察からの謝罪はない。「警察官も人間。でも間違ったなら、多くを失った人に頭を下げるべきだ」と憤る。

可能性の検討

何故このような不幸な事件で無実であるはずの一人の男性の人生が狂わされてしまったのでしょうか?

真相は何だったのか?という問いに対する可能性はいくつか考えられます。

  1. 本当に男性が痴漢をしたが、裁判所が立証が不十分として無罪判決を出した
  2. 満員電車内を移動中に手が触れてしまっただけでも痴漢だと主張する女性だった
  3. 女性は本当に痴漢被害に遭っていて、大阪府警の捜査官が近くで見ていたのに誤認逮捕した

1.男性が真犯人だが証拠不十分

1.である可能性は極めて低いです。何故なら、男性は逮捕後に20日間にも及ぶ勾留生活にも耐え当初から否認を貫いています。

もし男性が本当に痴漢をしていて、社会生命を失いたくないが為に否認をしたのだとすれば、逮捕を機に会社を退職し、無罪判決後も復職していない事とは矛盾します。しかも現行犯逮捕された状況では、本当に無実だったとしても否認を貫ける人は少数派です。20日間の勾留に耐えられずに冤罪を認めてしまう人がほとんどなのがニホンという国ですからね。

2.女性の勘違い

次に2.を検討してみます。これは十分に可能性があります。

私が今までに出会った女性達の話では、かなりの割合で痴漢被害に遭った事があると主張する女性が多かったのですが、された時の状況や触られ方を聞いてみると、「そんな性犯罪者は許せないな!」と思えるような酷いものもあれば、「え?それは単に触れちゃっただけじゃない?てか満員電車で身体のどこも接触させないとか無理でしょ?」というようなものもありました。

2週間前には本当に痴漢被害に遭ったのかもしれません。その点においては女性は完全な被害者であり同情の念を禁じ得ません。府警に相談したのも別に悪い事ではないでしょう。

ところで、南海高野線の朝のラッシュ時には女性専用車両が設定されているのですが、どうして痴漢被害に遭いながらも普通車両に乗り続けたのでしょうか?

南海高野線の女性専用車

堺東駅は完全に対象区間内です

堺東駅は完全に対象区間内です

府警に相談した結果として、わざと普通車両に乗って痴漢されるかどうか試したのでしょうか?痴漢した男性の顔を覚えていて、府警に相談した上でまた痴漢されるかもしれないリスクを冒してまで女性専用車両には乗ろうとしなかったほど勇敢な女性は、どうして痴漢されている最中に手を掴んで捜査員に引き渡さなかったのでしょうか?

痴漢被害経験のある女性達に聞くと、手を掴んで抗ったとか、足を踏み付けて仕返しをしたというような勇敢な女性もいれば、怖くて何も出来なかったと話す女性もいました。怖くて何も出来ないタイプの女性は警察に相談するのも勇気が要りますし、一度被害に遭ったら二度目からは女性専用車両に乗ると思います。

判決にもある通り、事件が起きたのは12月という冬の朝で、「手の接触は女性が着ていた厚手のコートの上からで、ごく短時間」です。これが痴漢ですか?手が触れないように手を上げて車内を動いたら、今度は男性の局部や臀部が女性の腰回りに触れてしまいますよ?それはそれで「局部を押し付けたとして痴漢」ですか?満員電車に女性が乗っていたら、男性陣は動く事すら許されないのでしょうか?

3. 単なる誤認逮捕の可能性

これの可能性も十分ありますが、記事内には「12月4日は、鉄道警察隊の捜査員3人が女性に同行し、警戒した。」とあります。

本当にこの日も女性が痴漢被害に遭っていたのだと仮定すると、3名も同行していながら、真犯人は捕り逃し、車内を移動しようとして「厚手のコートの上から手が触れてしまっただけの男性」を誤認逮捕した事になります。本当にそんな事があり得るのでしょうか?

現行犯逮捕となっていますが、結局誰も男性が女性のお尻を触る所は見ていないワケで、警察擁護番組である「警視庁24時」みたいな番組内で鉄道警察隊が「現認した上で検挙!」とか言ってるのは番組用の特別バージョンで、普段は女性からの訴えさえあれば、痴漢の瞬間を見ていなくても現行犯逮捕しているという事になるでしょう。

これでは「現認した!」と主張の下に検挙しまくっている道交法違反よりもタチが悪いですよね。

はたして真相は?

というあたりの考察から、私としては2.の仮説を支持し、「女性が過去に悪質な痴漢被害に実際に遭った可能性は十分あるが、この日に関しては警察が同行している事もあって、いつも以上に過敏になって満員電車ならば避けようがない程度の接触すら痴漢と捉えてしまった」というあたりが真相なのではないかと思います。

一審有罪率が99.98%というカル○国家ニホンの裁判所に、今回の無罪判決を出したようなまともな裁判官がいたことにも驚きですが、検察が控訴を断念していることにも驚きです。被害者女性の証言がある上に、捜査員3名が同行して現行犯で検挙しているんですよ?ここで控訴を断念するという事は、最初からまともに立証しようと思ったら無理筋だとわかった上で起訴した事になります。

誰も責任を取らない

男性は逮捕を機に退職してしまいました。性犯罪は社会的な印象が最悪なので無理もない判断ですが、今回のように冤罪で人生を狂わされてしまう人がたくさんいるのがニホンです。

捜査を行う警察署内に交流できる拘禁期間もニホンだけは異常なまでの長期です。

中国や北朝鮮を笑えません

中国や北朝鮮を笑えません

世界も驚く「daiyo-kangoku」より

本来ならば被疑者は送検と同時に拘置所に移動させなければなりませんが、100年遅れの監獄法を使っているニホンでは、「監獄」を「刑事施設」と呼び方を変えただけで、いまだに代用監獄システムが機能しています。

犯罪者集団である警察が国民を検挙し、長期間に渡って警察署内の留置所に勾留するのですから、まともな取調べが行われると期待する方がどうかしています。そりゃ検察だってロクなものではありませんが、ヤク○○力団に過ぎない警察に逮捕留置も入れたら23日間も勾留されていたら、余程心が強い人でなければ折れてしまうでしょう。これがニホンの自白強要システムです。

さて、今回の事件は無罪判決が出たのですが、誤認逮捕した警察官も、無実と思われる者を起訴した検察官も誰も責任を取らなくてよいシステムになっています。

「そんな事を言ったら無実の可能性がある者は誰も逮捕できなくなってしまうではないか!」というような声が聞こえてきそうですが、そうあるべきだと思いますね。推定無罪の原則は貫かれた方が良いでしょうし、99人の犯罪者を検挙するために1人の冤罪被害者を出すくらいなら、99人の犯罪者を捕り逃しても冤罪で人生を狂わされる人を1人も出さない事の方が大切だと思います。

警察支持者は、まさか国家体制の維持の為には多少の犠牲は仕方がないとか言うのでしょうか?自分や自分の家族がその犠牲になっても同じ事が言えるのでしょうか?

犯罪者の検挙は大切ですが、もっと大切なのは犯罪が起こらないようにする防犯の為の施策です。満員電車という劣悪な環境自体を改善するのが一番ですが、それが無理なら女性専用車両の導入は悪い施策ではなかったハズです。

どうせラッシュ時限定の施策なのですから、男性専用車両と女性専用車両に完全に分けた方がまだマシなのではないでしょうか?

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コメント

  1. とし より:

    明日は我が身かもしれませんね、最近警察の不祥事が多く報道されていると同時に警察24時のような番組が体感で1週間ごとにあるような気がしていますw
    大げさかもしれませんが、最悪なケースで冤罪者が死刑になることもあるのではないかと考えてしまいます、昔は死刑賛成だった私ですが、冤罪、ずさんな捜査・取締、隠ぺい、偽造等をしているので、死刑にしろなど怖くて言えないですね、現行犯のみに限定するなどならわからなくもないですが・・・

    • 取締り110番 より:

      冤罪で死刑が執行されてしまったケースは、再審で無罪が認められたケースの数十倍はあるでしょうね。

      思いつくだけでも免田事件・財田川事件・島田事件・松山事件などがありますし、無期懲役がひっくり返った例など枚挙に暇がありません。そして、このような冤罪事件で再審請求が認められるのは極めて稀ですから、無実なのに有罪判決を受けて刑が執行されてしまった方はいくらでもいるでしょう。

      物証がなくとも状況証拠と被告の自白(警察・検察が強要可能)のみで有罪を出してしまうのですから、ニホンは冤罪大国ですし、法治国家ではありません。推定無罪の原則や「疑わしきは被告人の利益に!」なんてのは、建前だけのお題目です。

      そもそも、原発を爆発させて国土を汚染しても誰も裁かれない国なのですから、人を殺したら仮釈放なしの無期懲役くらいで良いと思います。小泉改革とアベノミクスで貧困層からはどれだけの自殺者が出た事でしょうか?少なくとも竹中平蔵と安倍晋三が逮捕収監されるまでは、事故を伴わない交通違反ごときで良心の呵責を感じる必要すらないと思います。

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