ビックリ!免停などの行政処分にはカラクリがあった!

さて、ブログ内の記事を精読していただければわかる事ではあるのですが、案外知らない人が多い行政処分のカラクリについてまとめてみます。かなり頑張って書いたので途中で挫折せずに頑張って読んで下さい。このブログは読者にも一定以上の知能と努力を要求します(笑)

免停や免許証の更新は「行政処分」である。

これが既に厄介な点なのですが、「刑事処分と行政処分は別進行」という原則があるため、理不尽な検挙によって切符を切られ、否認して検察官が不起訴処分(無罪)にしても、行政処分側は勝手に反則点が付加されて処分が執行されてしまうわけです。

  • 刑事処分:反則金を支払えば終了→払わないと送検されるが青切符ならば99.9%不起訴(罰金なし)
  • 行政処分:検挙した警官が所轄で「違反登録」をすると勝手に反則点が付加→反則点の累積で免停処分など(刑事が不起訴でも取り消されない)

とはいえ、検察官が「起訴するほどの違反ではない」と判断したわけで、不起訴処分とは無罪と同値ですから、行政処分においても処分が取り消されなくては困ります。しかし、そうはならないような様々なカラクリがあるわけです。

行政処分は処分を受けてからでなければ訴えすら起こせない。

刑事処分は、裁判によって有罪判決が出て初めて刑罰を受けます。とりあえず刑罰を受けておいて後から取消訴訟、なんて無茶はしないわけです。しかし、行政処分は特別な事情がない限りは処分を受けてからでなければ審査請求も取消訴訟も起こせないシステムになっているわけです。

で、「特別な事情」というやつですが、法令では以下のように規定されています。

行政訴訟法

第8条  処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
2  前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。
一  審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。
二  処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。
三  その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
3  第一項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。

例えばタクシー運転手が否認して不起訴になった違反容疑を根拠として免停処分の通知を受けたとします。免停では仕事が出来ませんから、第8条第2項2の「著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき」に該当すると思われます。

ところが、これに関しては過去に処分前に起こされた訴訟は全て棄却されています。理由は、「後で取消訴訟を起こして勝訴すれば損害賠償請求が出来るので、金銭での回復が可能であるから緊急ではない」という事です。これは解雇が掛かっていても同じです。「後で勝訴すれば理由なき解雇として復職が可能だから」だそうです。

そんな屁理屈を言ったら「緊急の必要」って例えば何ななのでしょうね?行政処分で死刑はないんだから、他の事は何でも「後から金で解決が可能」になってしましますね!

という普通の感覚を裁判官は持ち合わせていないようです。結局のところ、免停にしても免許の更新にしても、処分を受けてからでなければ訴えは起こせません。

訴えには3段階あるが、行政訴訟以外は無意味。てゆうか行政訴訟も無意味。

一応順番としては以下のようになります。

  1. 処分庁(道交法なら県警か警視庁)に苦情申立
  2. 上級庁(公安委員会)に不服審査請求
  3. 行政訴訟(地裁)

1.の苦情申立と2.の審査請求は無意味です。最悪3年程度放置された挙句に「違反は事実。処分は妥当」として棄却されます。従って、形式的に審査請求をしたらすぐに行政訴訟をして構いません。審査請求なしにいきなり訴訟でも構いませんが、条例に抜け道があったり、警察幹部にコネがあれば審査請求で「認容」されて処分が取り消されたりしますから、一応やっておく方が良いでしょう。切手代だけで済みますしね。

しかし、それ以前にこの1~3に既にカラクリがある事にお気付きでしょうか?

まずは免許証を見てみましょう。

当然「○○県公安委員会」の赤い判子マークがありますね。当たり前の事ですが運転免許を管轄しているのは公安委員会です。警察はあくまでも道交法の違反者を検挙しているに過ぎない。ところが、です。

「公安委員会は免許の停止処分などの業務を県警に委託している」という屁理屈によって、本来処分庁であるべき公安委員会が自らの処分の審査庁になっているのです!

これが審査請求が形骸化されているカラクリです。審査請求は「処分が妥当かどうかの審査」ですから、処分庁とは異なる行政庁が審査することになっています。しかし、上級庁がある場合は上級庁が審査する、という規定があるため、

公安委員会は下級庁である県警に処分を委託することによって自らが上級庁になり、自分で決めた免停処分に対する審査を自分でやるという法の趣旨を骨抜きにする手法を取っているわけです。

これで審査が公正に行われるわけがありませんね。他の行政庁が審査する事によって正義を担保したハズなのに、自分の処分を自分で審査するわけですから。ここでちょっと道交法を見てみます。

道路交通法第百三条

免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。ただし、第五号に該当する者が前条の規定の適用を受ける者であるときは、当該処分は、その者が同条に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後でなければ、することができない。

いやいや、誰がどう見ても免停処分の処分庁は公安委員会でしょう。他の法令でも県警を処分庁とするような条文はありません。ところが、このカラクリをするためのキーワードが「委託」です。

「委託」には法的根拠が要らず、「委託した」と言えばOKだそうです。さすがはニホンと言ったところでしょうか。

法令の条文の主語を「委託した」で変更できるなら条文なんて要らないでしょ?って話なわけです。この委託によって2つの不利益が運転手に降りかかります。

  1. 処分をする県警が自ら処分対象者を取り締まる構図になる。これを刑事処分に例えると警察が判決文を書けるということ。
  2. 公安委員会が審査庁になるのでコネや権力者以外の請求は全て棄却。おまけに実際に審査しているのは県警の警察官。公安委員は判子を押すだけ。

「判決を出せる警察」が如何に危険かはわかりますね?自分で取り締まって自分で処分出来るのですからやりたい放題です。そもそも、そういう警察の横暴を防ぐ為に公安委員会を作ったハズなのに、その公安委員会が処分権を委託しちゃうんですから最初から出来レースになっているわけです。

次に、公安委員というのは各都道府県に3~5名しかいません。不服審査請求だけでも年間200件以上(東京都の場合)あるのに、5名の委員が全部見れるわけがありません。

結果として、警察官が棄却する旨の文章を作成して提出し、公安委員が判子を押し(これすら警官が代行してるかも)警官が封筒に入れて発送するのが審査請求の現実です。何しろ審査する会議に警官が同席するというのだから何の為の審査か、と。事実関係を尋ねる為に警官を呼ぶと言うなら、請求者も同席させなければ意味がないハズですがそれもしません。そもそも話し合ってすらいないのでは?

私が以前情報公開請求で開示させた公安委員会の議事録によると、会議は年間30~40回程度、1回あたり7~8件の審査請求をしているハズなのに、会議は長くても2時間程度で終わっています。

議事録には「審査請求について審査した。」の一文しかありません。やはり、中身について話し合っているわけがありません。

というわけで、審査請求は無意味です。年間数件だけ「認容」という審査結果があるのですが、これこそが警察キャリア組や政治家などの処分を取り消す合法的な手段なのでしょう。

行政訴訟での取消だと判決文が公開され残ってしまいますが、審査請求の審査内容は議事録で「審査した。」の一文だけですので何故棄却で何故認容なのかについては第三者が見れないシステムになっているわけです。まあ、審査請求に関してはこんなもんでいいでしょう。とにかく無意味。不公正。何故これが違法にならないのかが不思議。

長いので次の記事に続きます。

前記事は免停等行政処分のカラクリです。行政訴訟は敗訴確定。冤罪でも捏造でも全て「警察が正しい。処分は妥当」との判決が出るだけ。私は警視総監を相手取り、二度ほど行政訴訟を起こした事があります。当然敗訴だったワケですが、私の訴訟での判決文を要約すると以下の2点になります。 警官は告知書(切符)捏造することが可能。しかし、それをする動機がないから捏造したわけがない。だから切符にも測定紙にも署名がなく、調書すら録っていなくても被疑者が違反をしたと認められる。 人違いの検挙で真犯人が他にいるとすれば、...

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コメント

  1. 藤木誠士 より:

    オービスが光って不安で調べていたらこのサイトに行きつきました。

    内容が明確ですごいと思ったので質問させてください。
    ご回答いただけますと幸いです。

    オービスでの通知 はもう逃れられないのでしょうか?

    免許の点数も無理ですか?

    明朝での国道で車がほとんどいなかったので40キロ以上でていたかもしれません。

    • 取締り110番 より:

      公訴時効が3年だと思いますので、住民票を移さずに転居を繰り返しながら逃亡して、3年間逃げ切れば免許も汚れません。ただし、警察が本気になって逮捕された場合はそこから免停になったり罰金刑になったりします。

      オービスの出頭通知を無視していると家庭訪問などがあった上でそのうち逮捕してくると思います。出頭してしまえば切符処理されるので出頭日か違反日を基準として反則点数が付加されます。

      オービスは起訴率が高いですが、否認すれば不起訴はたまに出ます。免停は避けられませんが、30日免停で済むなら短縮講習を受ければ1日で済みますね。

      いずれにせよ「あなたが出頭して切符を切られた時」を境にして反則点が加算されますので、今はまだ切符処理されていませんし点数も付いていません。大きく分ければあなたには3つの選択肢があります。

      1:出頭通知が来たら素直に出頭して素直に認める(罰金+免停)
      2:出頭通知が来たら素直に出頭するが違反については否認する(罰金については検察次第+免停)
      3:出頭通知が来たら逮捕のリスクを理解した上で3年間逃げ切ろうと試みる(捕まったら逮捕+罰金+免停、公訴時効まで逃げ切ったら無罪放免)

      3が魅力的ですが、3年以内に免許の更新などがある場合、その出頭時に免許証を保管されて強制執行されるリスクが高いですね。

      私に出来るのは選択肢を示す事だけで、決めるのはあなた自身です。

  2. マサユキ より:

    5月14日に一時不停止で止められたのですが否認して切符を受け取らずに帰ってからこのサイトを見つけたので5月17日に警察署に出向き警告処分にしてもらおうとしましたが、結局ダメでした。サイトを見ている皆さんはごねるなら当日に警察に乗り込むことをお勧めします。日が空くと書類が警察署を離れてしまうので注意してください。

    • 取締り110番 より:

      やはりダメでしたか。

      違反登録は当日~週末に掛けて行われる事が多いようです。一旦違反登録をしてしまうと、撤回には署長クラスの決裁を伴った抹消上申が必要になり、上層部にコネがない限りは無理でしょう。

      しかし、自ら警察に乗り込んだ事によって得た経験値は他の場面でも役に立つと思います。ニホンが法治国家だなどという誤解をしている限りは、世の中で起きている様々な不合理にも気付けないままになってしまいますからね。

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